法律資格について、受験生・合格者に聞いてみた!どれを取るべき?

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法律資格の検討イメージ

「法律資格、法律関係の仕事に興味があるけど、どれを取ったらいいのかわからない・・・。」
「まずは何か法律資格が欲しいけど、どれから勉強したらいいの?」
という方も多いのでは?

今回は、法律資格の各魅力や特徴などはもちろん、法律資格の受験生・合格者に聞いた「難易度」「勉強時間」「勉強を始めた年齢」について、他の法律資格と比較しながらご紹介します。「法律資格選び」の参考としてご覧ください。

目次

そもそも、法律資格には何がある?

法律資格と聞いて、すぐイメージするのは、やはり「司法試験」ではないでしょうか。
しかし、法律資格とはいっても、「これが法律資格」と明確に区別されているわけではありません。資格であれば、大抵の資格は少なからず法律に関係するからです。
今回は、主に仕事面から分類して、一般的に法律資格に区分される、国家資格の法律資格を中心にご案内します。

法律資格一覧

1.宅建(宅地建物取引士) ~法律資格の登竜門~ 資格の難易度3

2.行政書士 ~独立開業できる法律資格~ 資格の難易度4

3.司法書士 ~専門分野をもつ頼れる街の法律家~ 資格の難易度5

4.司法試験 ~憧れの法曹三者に~ 資格の難易度5

5.弁理士 ~知的財産の専門家~ 資格の難易度5

その他、法律資格の検定試験

1.ビジネス実務法務検定® ~広くビジネスに役立つ法律知識が身につく~ 資格の難易度2

2.知的財産管理技能検定 ~知的財産管理スキルの国家資格~ 資格の難易度2

※記事内のアンケートは2018年にLEC東京リーガルマインドにて無記名で実施したものです(受験資格など全て自己申告)。あくまで回答者の状況、コメントであり、該当する試験受験生全体の傾向とは異なる場合があります。予めご了承いただき、目安、参照資料の1つとしてご覧ください(回答数:宅建:124、行政書士:170、司法書士:176、司法試験:54、弁理士:63)。

1.宅建(宅地建物取引士)~法律資格の登竜門~ 資格の難易度3

はじめにご紹介する宅建(宅地建物取引士)は、一般的に「不動産資格」に分類されます。ただ、法律資格の科目でとても重要な「民法」を一から学ぶ資格として、「法律資格の登竜門」として扱われることも多く、取得メリットも多い国家資格のため、ここでご紹介します。

宅建(宅地建物取引士)の魅力と特徴

宅建の仕事イメージ不動産取引のプロ、それが宅建士(宅地建物取引士)です。不動産取引をするにあたって、契約者が困らないように、「重要事項の説明」「重要事項説明書への記名捺印」「契約書への記名捺印」を行いますが、これが宅建士の独占業務です。宅地建物取引業では、事務所ごとに、従業員5人に1人以上の割合で必ず専任の宅建士を置かなければなりません。

宅建は、国家資格の中では難易度が低めで、かつ不動産業界への就職・転職に非常に有利な資格。受験生数は年間約20万人と知名度も高く、取得メリットが大きいです。また、宅建を取得できれば、勉強への自信がつくだけでなく、「民法」の基礎が身につくので、次の法律資格対策のアドバンテージとなり、ステップアップへとつながります。宅建の試験形式も4択50問と、他の国家資格と比較しても、とても受験しやすくなっています。

「まず、何かの国家資格が欲しい!」「法律の勉強をしたことがないけど、法律の勉強をまずはやってみたい!」という方にはおすすめの資格です。

宅建(宅地建物取引士)試験データ

難易度:資格の難易度3(ふつう)

合格率:15.6%

学習期間(目安):3~6ヶ月、300時間程度

受験者数:213,993人

合格者数:33,360人

合格者男女比:男65.5%、女34.5%

合格者平均年齢:34.9歳

職業別構成比:不動産業36.8%、金融関係9.5%、建設関係9.8%、他業種22.0%、学生11.0%、主婦4.0%、その他6.7%

※上記データは、2018年度データ

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★法律資格の受験生・合格者に聞いてみた!(宅建編)

「あなたが思う宅建の難易度は?」

宅建の難易度アンケート

「ふつう」の回答が最も多いですが、「難しい」も僅差でほぼ変わらずの結果でした。難易度は、受験生の今までの学習経験に大きく左右される、主観的なものとなるため、一概に判断することは難しいですが、次の項目でその理由を聞いています。

「あなたが思う『宅建』の難易度、その理由は?」

資格の難易度3(ふつう)

「2ヶ月勉強して合格スレスレまで行けたので」(50代女性|会社員・メーカー・事務・アシスタント|大卒・文学部日本文学科)

「過去問の繰り返しだけで合格できたから」(30代後半男性|会社員・サービス業(小売・外食・レジャー・旅行など)・企画・管理系|大卒)

「過去問を逸脱しない範囲の学習で合格ラインに届くから」(20代後半男性|会社員・建設・プラント・不動産系・|大卒)

「基本書を通読しながら問題集が3回転以上できれば合格可能と思われるから。」(40代男性|会社員・建設・プラント・不動産系・営業職|大卒・法学部)

「仕事にしてない自分が3ヶ月くらいの独学で合格したので、仕事にしている人なら普通に勉強すれば簡単だと思う。」(30代前半男性|会社員・メーカー・技術職|大学院卒・情報理工学・立命館大学大学院)

「仕事や家事と両立しながら、独学で2ヶ月弱の勉強期間で合格できたので。」(40代女性|自由業・サービス業|短大卒)

「過去問を繰り返し勉強すれば、十分に合格点は取れるため」(30代後半男性|会社員・メーカー・技術職|大学院卒・工学部 環境工学・京都大学)

資格の難易度4(難しい)

「甘く見たら確実に落ちます」(40代男性|会社員・技術職|短大卒)

「きちんと理解していなければ合格できないと思ったから」(40代女性|自由業・サービス業|大卒・国文学専攻・中央大学)

「過去問をやれば受かると言うのが定説で、実際そうなのだが、過去問で出題されていない問題もあり、それも取れないと合格点に達しない。」(30代後半男性|会社員・金融・証券・事務・アシスタント|大卒・法学部・慶應義塾大学)

「受かりそうで受からない。 1点に泣き、笑う 100人 受けたら85人は確実にすべる 舐めてかかると 一発合格は 難しいと思う」(50代男性|会社員・サービス業)

「民法の言い回しが難しく言葉の理解から始めているので」(40代男性|会社員・運輸・物流・事務・アシスタント|高卒)

「法律関係の勉強が初挑戦だから」(30代後半女性|大卒)


アンケートをみると、法律の勉強は初めてという方を中心に「難しい」と答えている方が多数。法律資格の勉強が初めての方は、「そもそも宅建って、法律の勉強だったの?」「よく聞く資格だから簡単かと思ってた・・・。意外!」という方も多いのでは?
「ふつう」と回答した人は、過去問についてコメントしている方が非常に多く、2カ月で合格できたという声も。いずれにしても、宅建合格のためには、過去問の活用が合格のカギとなりそうです。

宅建は、やり方を間違えずに、きちんと勉強すれば合格できる資格といわれますが、逆に言うとそれができなければ、合格できない資格。不動産業界で必須な資格なだけに、準備不足で受験する方も多く、合格率は低めに出ていると予測されますが、2018年度の合格率は15.6%。決して油断できない数字です。

「『宅建』の1日の勉強時間は?」

<平日の勉強時間(宅建)>
宅建の勉強時間アンケート(平日)

<休日の勉強時間(宅建)>
宅建の勉強時間アンケート(休日)

このアンケートでは、直前期か、半年前かなどの勉強の時期は聞いていませんが、一番多い勉強時間は、平日も土日も2~3時間程度。宅建合格ラインまで一般的によく言われる300時間とした場合、1日3時間でも100日間と3ヶ月ちょっとは必要。ある程度の期間と時間の確保が必要となります。

ただ、平日は1時間以下の方も4割いました。特に社会人の方は、学習時間の確保が難しくなります。そのため、通勤時間や昼の休憩時間などのスキマ時間の有効活用をするのはもちろん、余裕をもって、早め早めに勉強をはじめたいですね。

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「『宅建』の勉強を始めたのは、何歳?」

宅建の勉強開始年齢アンケート

【参考】合格者平均年齢:34.9歳(2018年度)

対して、アンケート回答者では、宅建の勉強を始めた年齢が40代以降という方も約半数もおり、幅広い年代の方が、宅建の勉強に取り組まれていました。

宅建(宅地建物取引士)のおすすめポイント

(1)法律資格の登竜門!民法の基礎が身につく。次の法律資格のステップアップにも。
(2)国家資格としては難易度が低く、4択50問と受けやすい。
(3)不動産業界には設置義務がある必須の資格。転職・就職には国家資格の中でも断然強い。

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2.行政書士 ~独立開業できる法律資格~ 資格の難易度4

行政書士の魅力と特徴

行政書士の仕事イメージ

行政書士は、官公庁(国と地方公共団体の役所)へ提出する、許認可などの書類作成・相談・申請代理の他、売買・賃貸借などの契約書の作成、遺産分割などの協議書の作成・相談業務などを行うことが仕事です。

また、2014年の行政書士法の改正により、従来は弁護士しかできなった不服審査請求(適法に許認可申請をした書類が不許可となった場合に、官公庁と争う手続き)の代理ができるようになり、法律家としての仕事の幅が広がりました(研修を受けて試験に合格した特定行政書士のみ)。行政書士は、独占業務をもつ身近な頼れる法律家、国家資格で、業務範囲は非常に広いです。

なお、試験科目は、基礎法学、憲法、民法、行政法、商法・会社法のほか、行政書士の業務に必要な一般知識も問われます。広く法律について学ぶことができますが、宅建と比べると行政書士の難易度は上がります。

ただ、合格すれば、宅建とは異なり、独立開業して、身近な法律家としての活躍も見込めます。さらに、行政書士の業務の広さから、他の司法書士、社労士、FPといった関連業務が重なる資格とダブルライセンスを取得することで、ワン・ストップ・サービス(ひとつの場所で、さまざまなサービスが受けられる環境)の提供が可能となり、仕事の幅も広がります。試験対策という勉強面からも、行政書士の法律知識は、他の関連する法律資格において大きなアドバンテージとなります。

「法律家として独立開業して仕事がしたいけど、司法試験や司法書士レベルは、正直ちょっと・・・」という方には、現実的な選択肢のひとつになるでしょう。

行政書士試験データ

難易度:資格の難易度4(難しい)

合格率:12.7%

学習期間(目安):6か月~1年、500~800時間

受験者数:39,105人

合格者数:4,968人

合格者男女比:男73.7%、女26.3%

合格者年齢別構成比:10代;1.4%、20代:17.3%、30代:23.6%、40代:26.9%、50代:20.5%、60歳以上:10.3%

※上記データは、2018年度データ

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★法律資格の受験生・合格者に聞いてみた!(行政書士編)

「あなたが思う『行政書士』の難易度は?」

行政書士難易度アンケート

受験生が異なるため、あくまで参考としてですが、「難しい」または「非常に難しい」と回答したのが宅建で約5割、対して行政書士では7割弱。2割弱も上昇しており、宅建よりも行政書士の方が「難しい」と感じている受験生の割合が多い結果です。

「あなたが思う『行政書士』の難易度、その理由は?」

資格の難易度5(非常に難しい)

「試験範囲が広いため。」(40代男性|大卒・経済学部|会社員・メーカー・営業職)

「択一が主流でありながら、法的思考を問う問題が多い、また記述の配点も高いから」(50代男性|大卒・法学部法律学科|会社員/メーカー)

資格の難易度3(難しい)
「コツコツ計画的に、諦めず続ければ出来る(取れる)とは思います。全くダメだった人が合格されてるから」(60代女性|短大卒・外語|サービス業/事務・アシスタント)

「まったくの素人から始めて合格まで4年かかったのですが、講師の言う通りにやっていれば合格できる資格だと思った。」(35~39歳男性|専門卒・自動車整備科|アルバイト・サービス業/技術職)

「覚える範囲が広く、今まで法律関係には無関心であったため」(50代男性|大卒・保険衛生学部|会社員・建設・プラント・不動産系/営業職)

「択一試験はあまり難しいと感じないが、記述があるため、まあまあ難しいと思う。」(20~24歳女性|高卒)

「法律初学者だったから」(40代男性|高卒|アルバイト)

資格の難易度3(ふつう)

「ちゃんと勉強しないと受からないが、ちゃんと勉強すれば受かったから。」(35~39歳女性|大学院卒・自然科学研究科|会社員・事務・アシスタント)

「みんなが解る問題を押さえればいいため。」(35~39歳男性|大卒・工学部建築学科|会社員/建設不動産系・技術職)

「一年間で合格できたから。」(20~24歳男性|大学生)

「絶対評価なので自分の到達度が把握しやすい。択一問題が中心なので手も足も出ない問題が少ない。」(40代男性|大学院卒・文学研究科哲学専攻|会社員・運輸・物流)


宅建と比べて「難しい」または「非常に難しい」と回答した人の理由としては「試験範囲が広い」の他、4択の宅建と違って試験制度に「記述がある」という回答も。また、宅建で「難しい」と感じた方の理由と同じく「法律初学者だったから」というの回答も複数ありました。

逆に「1年で合格できた」「ちゃんと勉強したら受かった」などの声も見られます。ただやはり、行政書士受験生・合格者の皆さんの声を総合すると「難しい」試験であるといえます。

「『行政書士』の1日の勉強時間は?」

<平日の勉強時間(行政書士)>
行政書士勉強時間アンケート(平日)

<休日の勉強時間(行政書士)>
行政書士勉強時間アンケート(休日)
平日、休日ともに2~3時間の方が最も多いというのは、宅建と同じ。ただ、構成比をみると、平日1時間以下は、宅建40.3%に対し行政書士32.4%と減少し、平日2~3時間程度は、宅建50.8%に対し行政書士54.7%と増加します。宅建と比較して行政書士受験生の勉強時間の方が長い傾向です。

なお、働きながらの勉強となると、休日の勉強時間での差がでやすくなります。アンケート結果をみると、休日の勉強時間が4時間以上の方は、宅建4割弱に対して、行政書士5割強。また、6時間以上は、宅建1割弱、行政書士2割弱と、行政書士の方が休日の勉強時間も多いです。

宅建よりも行政書士の方が、難易度が上がり、1日の勉強時間だけでなく、勉強期間も長くなります。今までの学習経験によりますが、予め1年程度の勉強期間をみて、長期の勉強計画を立てる必要がありそうです。

「あなたが『行政書士』の勉強を始めたのは、何歳?」

宅建の勉強開始年齢アンケート

【参考】合格者年齢別構成比:10代;1.4%、20代:17.3%、30代:23.6%、40代:26.9%、50代:20.5%、60歳以上:10.3%

行政書士の合格者平均年齢は、40代の構成比が最も多いです。
アンケートでの勉強を開始した年齢をみると、40歳以上になって、行政書士の勉強を開始された方は、過半数を超えています。50代以上も2割弱います。行政書士は、法律家として独立開業できる国家資格。独立開業すれば年齢に関係なく生涯現役で働くことができることから、退職後やセカンドライフを見据えて、勉強を開始される方も多いと思われます。

行政書士のおすすめポイント

(1)司法試験・司法書士などの法律の国家資格と比較すると難易度は低め。
(2)業務分野は広く、法改正などによる新しい業務分野がうまれやすく、法律家として独立開業できる。
(3)他の資格とのダブルライセンスが狙いやすく、業務の幅を広げられる。

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3.司法書士 ~専門分野をもつ頼れる街の法律家~ 資格の難易度5

司法書士の魅力と特徴

司法書士の仕事イメージ司法書士は、街の法律家。従来からの不動産・会社に関する登記手続きの代理業務や、裁判所・法務局への提出する書類の作成業務などを中心とした法律業務を行ってきました。近年では、法改正により簡易裁判所の訴訟代理が司法書士に与えられた(研修を受け試験に合格する必要あり)他、遺言・相続の関連業務、成年後見業務など、頼れる街の法律家として、その業務範囲は広がっています。

司法書士となると、社会から求められる法律知識レベル、法律家としての仕事の重要性は上がり、それに伴い社会的地位も高くなります。ただし、難易度も国家資格最高レベルまで上がります。

宅建試験や行政書士試験と比較すると、司法書士試験は、試験勉強がそのまま直接実務につながりやすい実務家登用試験である、というのが特徴的です。具体的には、司法書士の独占業務であり、収入源となりやすい不動産登記申請代理について学び、試験でもこの申請書を書く、書式問題が出題されます。そのため合格後は、比較的早く独立開業できる資格です。

司法書士も幅広い法律業務を行っているものの、行政書士や弁護士と比較すると、この不動産登記申請代理業務という専門分野をもっていることが特徴的であり、司法書士の強みでもあります。

「専門分野をもった法律家として、早く独立開業したい!」という方にとっては、司法書士は有力な選択肢の1つになるでしょう。
また、司法書士試験には、司法試験のような、法科大学院卒業または予備試験合格という受験資格も、論文試験もありません。この部分を負担に感じる方は、司法書士も検討する資格の1つとなるでしょう。

司法書士試験データ

難易度:資格の難易度5(非常に難しい)

合格率:4.3%

学習期間(目安):1年~3年

受験者数:14,387人

合格者数:621人

合格者男女比:男77.1%、女22.9%

合格者平均年齢:38.8歳

※上記データは2018年度のデータ

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★法律資格の受験生・合格者に聞いてみた!(司法書士編)

「あなたが思う『司法書士』の難易度は?」

司法書士の難易度アンケート

国家資格最高レベルの難易度となる司法書士は、アンケートでも「非常に難しい」と回答された方が8割弱。行政書士で「非常に難しい」と回答された方は1割弱ですから、アンケートを見ても、司法書士試験は相当に難しいことがわかります。

資格の難易度5(非常に難しい)

「試験科目が多い上、覚えることが多く内容も難しいから。」(30代前半女性|専業主婦|専門卒・エアライン科)

「どれだけやっても手応えがなかったから。」(30代後半女性|会社員|大卒)

「範囲が広く、記憶の定着が非常に困難。午後の試験の時間制限が厳しい。」(40代女性|大卒)

「合格率が低い」(50代男性|公務員|大卒・法学部・明治大学)

「なかなか受からない」(40代男性|会社員・IT・通信・広告・メディア系・企画・管理系|大卒・商学部 専攻会計学・関西学院大学)

「覚えても、覚えても、量が多いため以前覚えたことを忘れていく。正答率が高い。これだけの量で8~9割の正答率を出すのは難関です。」(40代女性|高卒)

「合格率が低く、試験は1年に1回のため」(20代後半女性|会社員・サービス業・事務・アシスタント|短大卒)


難しい理由としては、「合格率の低さ」「覚えることが膨大でかつ難しい」などの回答が多かったです。そのほか、「手応えを感じない」など、実際に試験を受けて「受からない」というリアルな声も。司法書士のように難易度が高い資格の場合、特に法律の勉強が初めてという方は、独学ではなく初めから資格スクールを利用しましょう。

「『司法書士』の1日の勉強時間は?」

<平日の勉強時間(司法書士)>
司法書士の勉強時間アンケート(平日)

<休日の勉強時間(司法書士)>
司法書士の勉強時間アンケート(休日)

構成比は、異なりますが、宅建、行政書士と同様に、司法書士の平日の勉強時間も、2~3時間が多い結果でした。やはり、働きながらの勉強となると、どうしても平日の勉強時間には限界がでてしまいます。

対して勉強時間の差がでるのは、休日です。休日の勉強時間6時間以上は、行政書士17.6%に対して、司法書士43.8%と倍以上。司法書士受験生の多くは、休日に多くの勉強時間を充てています。司法書士受験を決めたら、受験勉強中心の生活とし、休日により多くの時間を勉強に充てることが必要でしょう。

「あなたが『司法書士』の勉強を始めたのは、何歳?」

司法書士の勉強開始年齢アンケート

【参考】合格者平均年齢:38.8歳(2018年度)

合格者の平均年齢は、38.8歳。今回のアンケートでは30代から勉強を開始された方が最も多く、4割弱。行政書士では40代以上から勉強を開始された方が5割強いましたが、司法書士では3割弱、と構成比が減っています。全体的に行政書士よりも司法書士の方が勉強開始年齢が若い、という傾向が見られましたが、試験の難易度が非常に高いということも要因の一つかもしれません。

しかしながら、40代以降から勉強された方も3割弱いるというのは、司法書士が行政書士同様に独立開業できる資格だからでしょう。さらに、先に述べたとおり、司法書士は、不動産登記という専門分野をもち、試験勉強が実務に直結しており、合格後は比較的早く独立開業できることは、独立開業を目指す方にとって、大きな魅力でしょう。

司法書士は、難易度が高い試験なので長期戦となりがち。司法書士の勉強を始めるタイミングは、自分にとって今が一番若い時。いつかは司法書士の勉強を始めたいと思っているなら、なるべく早くから、今から勉強開始することを、おすすめします。

司法書士のおすすめポイント

(1)不動産登記の申請代理という、収入源となりやすい強い専門分野がある。
(2)簡易裁判所における訴訟代理など、法律家として裁判業務もできる。
(3)試験内容がそのまま実務につながる実務家登用試験のため、合格後に独立開業しやすい。

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4.司法試験 ~憧れの法曹三者に~資格の難易度5

司法試験の魅力と特徴

弁護士の仕事イメージ言わずと知れた国家資格最難関レベルの司法試験。司法試験に合格すれば、弁護士だけでなく、狭き門ながら、検事・裁判官といったエリート国家公務員への道もあります。

司法試験を受験するには、法科大学院を卒業するか、司法試験予備試験に合格するか、いずれかの受験資格が必要です。

予備試験合格者の2019年度の司法試験合格率は、81.8%と非常に高いです。難関のトップ法科大学院であっても60%前後の合格率であり、予備試験合格者の司法試験合格率は、遥かに上回っています。なお、合格者を出せなかった法科大学院は13校もあり、単に法科大学院を卒業した、というだけで司法試験に合格するのは非常に困難であることがわかります。

司法試験予備試験の合格率は、3.8%(2018年度の場合)と非常に難関であるものの、予備試験対策は、法科大学院対策にも、司法試験対策にもつながります。仮に法科大学院に在籍していても、卒業前に予備試験に合格すれば受験資格を得られ、より早く法曹になるチャンスを得ることができます。
法科大学院は、費用も数百万円かかるのはもちろん、入学してから卒業までの時間も、2~3年かかります。法科大学院ルートを目指すにしても、予備試験ルートも視野に入れて勉強することが、結果として、最短の司法試験合格への最短ルートとなる可能性が高いです。

言うまでもなく、単純に「みんなから頼りにされる弁護士になりたい!」という強い志をもっている方は、とにかく司法試験にチャレンジ!

難易度:資格の難易度5(非常に難しい)

合格率:司法試験予備試験3.9%、法科大学院入試(全体平均)48.5%、司法試験29.1%

学習期間(目安):1~4年

受験者数:司法試験予備試験11,136人、法科大学院入試(合計)7,258人、司法試験5,238人

合格者数:司法試験予備試験433人、法科大学院入試(合計)3,521人、司法試験1,525人

合格者男女比(司法試験):男75.4%、女24.6%

合格者平均年齢(司法試験):28.8歳

※各2018年度のデータ
※法科大学院合格者3,521人のうち入学者は1,621人。うち社会人は225人(13.9%)

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★法律資格の受験生・合格者に聞いてみた!(司法試験編)

「あなたが思う『司法試験』の難易度は?」

司法試験の難易度アンケート

司法試験(※予備試験・法科大学院を含む)を「非常に難しい」と回答した方も7割を越えており、アンケートからも、非常に難しい試験である、というのは明らかです。「非常に難しい」と回答した方は、先の司法書士8割弱に対して、司法試験7割強とやや低めという結果になっていますが、学習経験や年齢層も異なりますので、単純な比較は難しいでしょう。

いずれにしても、司法試験は、非常に難しい試験であることは確か。しっかりと自分が資格取得を目指す目的を固め、絶対に合格する!という強い決意をもって、早めに受験対策を行いましょう。

「あなたが思う『司法試験』の難易度、その理由は?」

資格の難易度5(非常に難しい)

「科目数の多さ、それぞれの知識の深さが求められる」(40代男性|自由業・コンサルティング・専門事務所(法律事務所・司法書士事務所など)・監査法人・税理士法人・リサーチ・専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人など)|大卒・法学部・北海道大学)

「名門大卒でも落ちる人が多いから」(20代前半男性|学生|大卒・法学部法律学科・ 中京大学)

「論文試験の問題が難しいから。」(40代男性|派遣社員|大学院卒)

「膨大な知識量と、論文構成力を要する。」(50代男性|学生|大卒・法学部・中央大学)

「知識だけでなく、知識を使いこなす能力、考える力、文章力など総合的なその人の持つ力が試され、それを短期間に養成せねばならないから。」(40代男性|会社員|大卒)

「出題範囲が広い。暗記しなければならない量が多い。受験者層のレベルが高い。合格率(合格人数)が多いとはいえない。」(30代後半女性|学生|大学院卒・九州大学)

資格の難易度4(難しい)

「勉強の正しい方向性を見極めるために、高水準の内容理解が必要になるため。」(30代後半男性|自由業・その他・|大卒)

「継続して一定時間学習しないと合格出来ないと思うため。」(30代前半男性|会社員・営業職|大学院卒)


「非常に難しい」「難しい」理由としては、「膨大な試験範囲」「必要とされる知識の量」だけでなく、「思考力・使いこなす能力が必要である」、というコメントも多くみられました。司法書士と比較して、特徴的だったのが、「論文試験が難しい」「論文構成力が必要」など、司法書士試験にはない論文試験に関するものです。また、「受験者層のレベルが高い」、という記載も。先に記載のとおり、実際に難関のトップ法科大学院を卒業しても、司法試験の合格率は60%前後。単に法科大学院を卒業すれば、合格できるという試験ではないため、法科大学院ルートであっても、司法試験に対するしっかりとした受験対策が必要です。

「『司法試験』の1日の勉強時間は?」

<平日の勉強時間(司法試験 ※受験資格の予備試験、法科大学院を含む)>
司法試験の勉強時間アンケート(平日)

<休日の勉強時間(司法試験 ※受験資格の予備試験、法科大学院を含む)>
司法試験の勉強時間アンケート

まず、司法試験(受験資格の予備試験・法科大学院を含む)について、平日の勉強時間について見ると、2~3時間が最も多いという点では、宅建、行政書士、司法書士と同じでした。しかし、その割合は大きく異なります。司法試験受験生が最も多く、平日4時間以上の勉強を5割以上の方がしており、6時間以上の勉強を約3割の方がしています。
例えば、平日4時間以上は、同じ難易度レベルの司法書士約4割に対し司法試験は5割以上。平日6時間以上が司法書士1.5割程度、司法試験約3割とその倍です。
この差は、司法試験受験生は、学生または若い独身の方が司法書士よりも多く、平日の勉強時間が多く取れる環境の方が多いと推測されます。

休日の勉強時間について見てみると、6~8時間が司法書士33.0%、司法試験44.4%。9時間以上が司法書士4.1%、司法試験11.1%と大きな差がみられました。休日においても、学生や独身の方と、家庭をもつ方の学習環境の差もあると推測されます。いずれにしても、司法試験は長い勉強時間と期間が必要。司法試験に挑むのであれば、平日も休日も勉強中心の生活リズムとなります。

「あなたが『司法試験』の勉強を始めたのは、何歳?」

司法試験の勉強開始年齢アンケート

【参考】合格者平均年齢(司法試験):28.8歳(2018年度)

司法試験合格者の平均年齢は28.8歳と、司法書士試験(38.8歳)や行政書士試験(40代が最多)と比較すると、10歳、それ以上と若いです。
今回のアンケートを見ると、司法試験の勉強を開始した年齢でも、20代前半から勉強しているという方の割合が4割以上と、若い方が全体的に多かったです。今回のアンケート回答者は、司法試験では30%程度が学生だったのですが、宅建・行政書士・司法書士では、いずれも学生は5%前後でした。

法科大学院ルートも考えると当然の結果ですが、今回のアンケートでも40代から勉強開始という方も3割弱もいらっしゃいますし、2018年の法科大学院入学者の13.9%は社会人の方です。
「1度切りの人生、絶対に弁護士になる!」と自分で決意したら、年齢は関係なく、とにかく前進するのみ!です。

司法試験のおすすめポイント

(1)法律資格の最高峰!あらゆる法律相談業務、裁判業務、法律関連業務ができる。
(2)弁護士だけでなく、検事・裁判官という国家公務員への道がある。
(3)みんなに頼りにされ尊敬される!圧倒的に知名度が高く、社会的地位が高い。

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5.弁理士 ~知的財産の専門家~ 資格の難易度5

弁理士の魅力と特徴

弁理士の仕事イメージここで紹介する、独占業務をもつ、国家資格として最後の法律資格は、弁理士。一般的には、知名度が低いかもしれません。弁理士は、今まで紹介してきた法律資格とは少し異なり、理系の法律資格とも言われます。

弁理士は、一言で言うと、知的財産に関する専門家。知的財産とは、人が考え、知的に生み出した財産的価値があるものを言います。この知的財産には、法律で規定された権利があります。例えば、発明(特許権)、デザイン(意匠権)、会社や商品のロゴやマーク(商標権)、文章・音楽・イラスト(著作権)などです。

この知的財産権を得るのためには、特許庁への出願手続きが必要で、この出願の手続きを代理で行うのが、弁理士の主な仕事です。また、知的財産に関する相談を受けてアドバイスを行ったり、知的財産権の侵害を受けた場合には、訴訟代理を行ったりと、知的財産権に関する幅広い法律業務を行っています。

弁理士の中で最も多い業務は、発明(特許)です。そして、このそもそもの発明を理解するためには、自然科学をはじめとする、理系の知識が必要になることが多いです。実際に合格者の8割強は理系の大学出身者であり、そのため、理系の法律資格と言われているのです。ただ、特許の次に多いのは、会社・商品のロゴやマークといった商標であり、合格者の1割強は文系出身者です。

なお、弁理士も難易度がとても高い国家資格なのですが、合格すれば、高い年収が期待できます。事務所勤務の弁理士の年収は、800~1,200万円程度が多く、2,000万円以上の年収を得ている弁理士も。もちろん、経験やその人の実力により年収は大きく異なるので一概には言えませんが、全体の傾向として、今まで紹介してきた法律資格よりも平均的に高い年収を見込やすい、というのは、弁理士の大きな魅力のひとつですね。

「理系出身だけど、法律の仕事がしたい!」「知的財産の仕事がしたい!」「どうせ資格とるなら、ぶっちゃけ高収入を狙いたい!」という方は、弁理士にチャレンジしてみては?

弁理士試験データ

難易度:資格の難易度5(非常に難しい)

合格率:7.2%

学習期間(目安):1~3年

受験者数:3,587人

合格者数:260人

合格者男女比:男: 74.2%、女: 25.8%

合格者平均年齢:37.6歳

年齢別構成比:20代: 16.5%、30代: 47.7%、40代: 26.5%、50代: 8.1%、60代: 1.2%

職業別構成比:会社員:52.7 %、特許事務所:31.5 %、無職:7.3 %、公務員:1.9 %、学生:1.2 %、自営業:0.4 %、法律事務所:0.8 %、その他:3.8 %

出身校系統別:理工系: 82.3%、法文系: 12.7%、その他: 5.0%

※上記データは2018年度試験のデータ

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★法律資格の受験生・合格者に聞いてみた!(弁理士編)

「あなたが思う『弁理士』の難易度は?」

弁理士の難易度アンケート

非常に難しい」と回答した割合は、弁護士72.2%、司法書士77.3%に対して、弁理士60.3%。受験生が全く異なり、難易度は主観的なものなので単純比較ができないですが、弁理士もまた、司法試験、司法書士同様に「非常に難しい」と感じる受験生が最も多い、難関試験です。

「あなたが思う『弁理士』の難易度、その理由は?」

資格の難易度5(非常に難しい)

「範囲が広範で合格率も低い」(40代男性|会社員・メーカー・技術職|大学院卒・理学研究科化学専攻・大阪大学)

「確実な知識に裏打ちされたアウトプットが求められるから。」(50代男性|会社員・メーカー|大学院卒)

「受験生の学歴、平均受験期間」(30代前半男性|会社員・コンサルティング・専門事務所|大卒)

「合格率、受験した実感」(40代男性|会社員・メーカー・技術職|大学院卒・工学研究科 材料化学専攻・京都大学大学院)

「長期にわたって勉強を続けるためモチベーションの維持が大変、仕事との両立が大変。」(20代後半女性|会社員・コンサルティング・専門事務所|大卒)

「覚えるべき項目が多く、しかも、制度を有する意味合いをしっかりと理解しないといけないから。」(20代後半男性|会社員・メーカー・技術職|大学院卒・工学研究科 電子工学専攻・京都大学)

資格の難易度4(難しい)

「難易度の割に勉強時間の確保が困難だから」(40代男性|会社員・コンサルティング・専門事務所|大卒・工学部都市工学科・東京大学)

「論文試験がある」(70代以上男性|その他・教育系・公務員・教員・農林水産関連職|大学院卒・理学研究科・大阪大学)

「それなりに勉強して昨年度の試験に臨んだが、昨年度の短答式筆記試験の結果が不合格であったため。」(30代前半男性|会社員・メーカー・SE・インフラエンジニア・Webエンジニア|大卒・工学部・名古屋大学)

「働きなから勉強時間を確保するのは難しい」(30代前半男性|会社員・メーカー・技術職|大学院卒・工学研究科・大阪大学)

「範囲が広いことに加え、受験者の学歴が高くハイレベルな争いであるから。」(20代後半男性|会社員・メーカー・技術職|大学院卒)


「非常に難しい」「難しい」と回答した方の理由は、司法試験同様に「範囲が広い」「深い理解が必要」などが多かったです。他に目立ったのは、忙しい社会人受験生が多い弁理士試験、という点では特徴的な「勉強時間の確保が難しい」という点です。今回のアンケートでは、司法試験は学生30%程度に対し、弁理士は学生3%程度と10倍もの大きな差がみられました。難易度がかなり高い上に、仕事が忙しいとなると、一番のネックは時間かもしれません。

他には、「受験生の学歴が高い」という理由も。回答者をみると、理系大学出身者が圧倒的に多かったです。勉強慣れしている受験生同士の競争となると、実際も競争は激しくなります。
ただ、弁理士試験に限ったことではないのですが、周りとの学歴の違いや勉強経験の違いなど、どうすることもできないことばかりに目が行くと、焦って本来の持っている自分の実力が出せなくなり、モチベーションも下がってしまいます。

誰でも初めは初学者です。「弁理士になる!」と決めたら、他人は他人、自分は自分、最後は自分との闘い!と割り切って、自分の持っている能力を最大限に活かすよう、メンタルコントロールをしながら、弁理士試験の合格に向けて、着実に勉強を進めていきましょう。

「『弁理士』の1日の勉強時間は?」

<平日の勉強時間(弁理士)>
弁理士の勉強時間アンケート(平日)

<休日の勉強時間(弁理士)>
弁理士の勉強時間アンケート(休日)

平日の勉強時間は、他の法律資格と割合こそ異なるものの、やはり2~3時間が最多。どの法律資格でも働きながらだと、この時間くらいしか確保できない、という方が多いのが実情のようです。
休日の勉強時間をみると、6~8時間は、司法試験44.4%に対し弁理士36.5%。9時間以上は司法試験11.1%に対し弁理士11.1%。
司法試験同様に、特に休日にはできるだけ多くの時間を勉強時間に充てる必要がありそうです。

「あなたが『弁理士』の勉強は始めたのは、何歳?」

弁理士の勉強開始年齢アンケート

【参考】合格者平均年齢:37.6歳(2018年度)

弁理士試験の合格者平均年齢は、37.6歳に対し、今回のアンケート結果で弁理士の勉強を開始した年齢としては、20代後半が最も多い結果と、少し乖離が見られました。
20代前半が最も多い司法試験と比べると、それよりは年齢層が高く、30代が最も多い司法書士、40代が最も多い行政書士と比べると、それよりは年齢層が低い結果です。

今回のアンケートでの勉強を開始した年齢層順では、次のとおりです。
司法試験(20代前半)-弁理士(20代後半)-司法書士(30代)-行政書士(40代)

実際の合格者の平均年齢をみると、
司法試験(28.8歳)-弁理士(37.6歳)-司法書士(38.8歳)-行政書士(40代が最多)となっています。

試験勉強という面を考えると、若い年齢のうちから勉強を始めるに越したことはないです。もし弁理士になりたいと思っているのであれば、早めに勉強開始することをおすすめします。

弁理士のおすすめポイント

(1)新しい技術に触れたり、デザイン・商標など知的財産権に関わる仕事ができる。
(2)高い年収が見込める。
(3)書類作成だけでなく、コンサル、紛争処理など知的財産権に関する法律家としての仕事ができる。

▼もっと詳しく!関連記事を読む
弁理士試験情報~産業財産権を専門とする知的財産のスペシャリスト~

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ビジネスで使える知識が身につく!法律資格の検定試験

以上、ここまでは、その資格をもってないとできない業務がある法律資格、いわゆる独占業務のある法律資格をご紹介しました。
特に宅建以外は、難易度の高い資格がほとんど。難易度が高くなればなるほど、時間とお金もかかります。

ここからは、「独立開業は、今のところ特に考えてないけど、何か法律資格が欲しい。」「すぐに役立つ実務的な法律の知識を身につけたい!」という方におすすめな検定試験をご紹介します。

1.ビジネス実務法務検定®~広くビジネスに役立つ法律知識が身につく~ 資格の難易度2

ビジネス実務法務検定のイメージ国家試験ではありませんが、東京商工会議所が主催する検定試験で、一般的に「公的資格」に分類される資格です。「ビジ法」とも略されたりもします。法務部はもちろん、営業、販売、総務、人事など、企業内のあらゆる職種で必要とされる法律知識が身につきます。

レベルは3級、2級、1級と、次の3段階あります。
3級:「ビジネスパーソンに必須」の法律知識
2級:弁護士など外部専門家への相談といった一定の対応ができる「知識レベル上級」
1級:法律知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる「実務対応能力レベル上級」

就職・転職・社内のキャリアアップなどで、一定の評価を得るには2級合格を目指しましょう。ただし、2級は3級の知識が前提となっているので、法律資格が初めての方は、3級→2級の順で学習を進めましょう。

まずは手始めに、とにかく簡単な法律資格が欲しい!」「社会人として必要なレベルの法律知識を身につけたい!」という方は、是非「ビジ法」にチャレンジを!

2.ビジネス実務法務検定データ

難易度:3級資格の難易度2(易しい)、2級資格の難易度3(ふつう)、1級資格の難易度4(難しい)

合格率:3級79.3%、2級42.0%、1級:11.0%

学習期間(目安):1カ月~6カ月

実受験者数:3級:19,808名、2級:13,729名、1級:509名

合格者数:3級:15,711名、2級:5,766名、1級:56名

※上記データは、2018年度試験結果(全国分)

ビジネス実務法務検定®のおすすめポイント

(1)企業内で活用できる、広くビジネス実務に役に立つ法律知識が身につく。
(2)短期間で比較的容易に取得できる。
(3)法律知識が身につき、国家資格の法律資格へとステップアップを目指せる。

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ビジネス実務法務検定試験®試験情報 ~社会人に必須の法律知識~

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2.知的財産管理技能検定 ~知的財産管理スキルの国家資格~ 資格の難易度2

知財検定のイメージ

知的財産管理技能検定は、先にご紹介した弁理士と同様に、知的財産に関する国家資格。合格すると「知的財産管理技能士」と名乗ることができます。ただ、弁理士のように、法律によって定められた独占業務はありません。知的財産をマネジメント(管理)できるスキルがあることを国が認定する、いわゆる「名称独占資格」です。

近年、IT(情報技術)・AI(人口知能)などによる従来型ビジネスの急速な変化や、所有からシェアリングへの人々の価値観の変化などにより、私たちのライフスタイルも大きく変化してきています。このような状況の中、ビジネスにとっては知的財産がますます重要なものとなってきており、この知的財産ををいかに管理して、活用し利益を出していくかということが、ビジネスの成功の鍵となっています。もはや、知的財産マネジメントは、現在のすべてのビジネスパーソンに必要とされるスキルの1つといってもよいでしょう。

レベルは3段階あります。
・3級知的財産管理技能士(管理業務)
・2級知的財産管理技能士(管理業務)
・1級知的財産管理技能士は(特許専門業務)(コンテンツ専門業務)(ブランド専門業務)
※1級は業務ごとに3つの試験に分かれます。

2級を受験するには、「知的財産管理」職種での実務経験などといった受験資格がありますが、3級に合格すれば、実務経験がなくても2級を受験することができます。3級は誰でも受験できますので、実務経験のない方は、まず3級の勉強から始めましょう。

いきなり弁理士はちょっと抵抗があるから、まずちょっと腕試しをしてみたい!」「実務に役に立つ知的財産の知識が欲しい!」という方は、チャレンジしてみては?

知的財産管理技能検定試験データ

難易度:3級資格の難易度2(易しい)、2級資格の難易度3(ふつう)、1級資格の難易度4(難しい)

合格率
3級:学科63.8%、実技74.6%、2級:学科44.8%、実技38.5%、1級:ブランド学科5.2%、1級特許実技95.3%

学習期間(目安):1カ月~6カ月

申込者数
3級:学科2,697名、実技2,485名
2級:学科1,870名、実技1,963名
1級:ブランド学科134名、1級特許実技43名

合格者数
3級:学科1,720名、実技1,853名
2級:学科837名、実技756名
1級:ブランド学科7名、1級特許実技41名

受験者平均年齢
3級34.4歳、2級38.3歳、1級ブランド45.5歳、1級特許43.5歳

受験者男女比
3級:男63.4%、女36.6%
2級:男65.6%、女34.4%
1級ブランド:男61.2%、女38.8%
1級特許男:86.0%、女14.0%

※上記は第32回(2019年3月実施)データ。合格率は、一般財団法人 知的財産研究教育財団 知的財産教育協会が公表している合格者数÷申込者数より算出。第32回は1級(ブランド)実技試験、1級(特許)学科試験、1級(コンテンツ)学科・実技試験の実施なし。

知的財産管理技能検定のおすすめポイント

(1)特許や商標、著作権など「知的財産」に関する知識、地財マネジメント能力が身につく。
(2)3・2級は難易度は低めだが国家試験。
(3)知的財産を利用した、新たなビジネスモデルを考案する視点がもてる。

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知的財産管理技能検定[3級][2級]の難易度や勉強時間は?就職に役立つ?

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まとめ「まだ、法律資格について選べなかったら?」

いかがでしたか?法律資格について、「この資格がよいかも・・・」という方向性が、少し見えてきましたか?

もし、
「法律の勉強をしたこともないし、やっぱりどの法律資格を目指してよいのかわからない・・・。」
「法律資格に興味はあるけど、そもそも法律の勉強が自分に向いているのかわからない・・・。」
「そもそも勉強自体が苦手だからなあ・・・。」
など、まだ悩んでいるなら、まずは、時間もお金もかからない、難易度の低い法律資格からチャレンジすることをおすすめします。

まずは、あれこれ考えるよりも、時間とお金のリスクを減らしつつ、とにかく行動を起こして法律の勉強をしてみましょう!
そうすることで、その法律資格の仕事の楽しさ・やりがい、向き不向き、法律自体の面白さ、勉強の楽しさや自信など、単なる知識の他に、実際に勉強をしたことによる気づき・発見・経験など、得るものがたくさんあるはずです。

そこから次の法律資格にステップアップすることもできますし、もし最終的に違う方向に行くことになったとしても、その方向は自分にとって違ったということがわかるだけでなく、その勉強の中で得た知識や経験は、長い人生の中できっと役に立つでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が少しでも、皆様の法律資格選びの参考、法律資格取得のきっかけになれば幸いです。

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