勉強は、コツコツと日々の努力を積重ねることが大切・・・。
もちろんそんなことはわかっているけれど、目指す試験が難しければ難しいほど「暗記」することも多く、「あ~暗記パンが本当にあったらいいのに・・・」なんて、モノにすがりたくなるものです。
でも、もしいつもの勉強アイテムやその使い方を少し変えるだけで、暗記力がアップするなら、試してみない手はないですよね?
ここでは、青ペンで勉強すると暗記力がアップするといわれている「青ペン暗記法」を中心に、「色」や「ペン」の上手な活用法について、実際の資格受験生・公務員受験生の声も交えつつご紹介します。
※資格受験生から寄せられた「おすすめ暗記法」については、一部短縮するなどの編集をしている場合があります。
1.「青ペン暗記法」は本当に効果があるのか?暗記に最適な色は?
普段から「色」を意識して勉強したり、上手にペンを使い分けるなどして、自分なりの暗記法を確立している受験生はたくさんいます。
実際に、資格受験生・公務員受験生におすすめ暗記法についてアンケートをとったところ、全体の7%の人が「青ペン暗記法」をはじめとする、色を意識した暗記法を実践していました。
受験生はみな自分に合った暗記法を見つけ、実践していますが、その手段の1つとしてやっている人が多い「青ペン暗記法」。そもそもは、20年ほど前に、早稲田塾の講師が生徒に言い始めたことが始まりだそうで、それがそのうち、口コミやSNSなどを通じて広まったといわれています。
「青ペン暗記法って、名前は聞いたことがあるけど・・・本当に効果があるの?なんで、青なの?・・・ペンなの?って疑問に思うよね。。そんな疑問をすっきりさせるためにも、まずは『青色』がどんな色かっていうところからみていこう~。」
なぜ「青色」がいいのか?青色の効果は?
なぜ「青」がおススメされているのかを知るために、まずは「青色」が人にもたらす効果についてみていきましょう。
青色は、空や海など自然界の大きなイメージのものを連想させるものなので、広さを感じられ、癒やし効果があります。
青色は「寒色」「鎮静色」などの性質を持っているため、見ているだけで冷静になれ、心を落ち着かせることができます。また、青色を見ることで、感情や気分のコントロール・精神の安定に深く関わるといわれる「セロトニン」というホルモンの分泌が促進されるため、心身ともにリラックスする効果があるともいわれています。
実際に、青い壁にすると犯罪が減ったり、青いライトの効果で自殺が減ったというニュースや、青いフィールドに変えたら陸上競技でいいタイムが出た、という報告などもあります。
平成24年に、東京大学大学院経済学研究科・澤田教授らは、「首都圏のある鉄道会社のデータを用いた統計分析により、駅ホームにおける青色灯の設置後に、自殺者数が平均して約84パーセント下落することが分かった。」との発表をしており、この青色灯の設置の動きは海外にまで広がっているといいます。
勉強においても、青色のもたらす効果は同じで、青ペンを使って勉強することによって、気持ちを落ち着かせ、集中力を高める効果があるため、結果的に記憶力もアップするといわれています。
「青色自体にこういう効果があるから、ペンのインクの色だけでなく、ペン全体も青色の方がいいかもしれないね。」
逆に、赤色のような暖色は、太陽や炎など熱いものを連想させることが多いですよね。
「赤色」は、アドレナリンの分泌が促進され、気持ちが高ぶるため、一般的には興奮する色だといわれています。闘牛士が牛に向かって振りかざしている布が赤いのも同じ理由です。
ほかにも、赤提灯があるような居酒屋などでは、気持ちが高ぶることで判断力が鈍って、もう一杯ビールを頼んじゃう・・・なんてこともあるとかないとか。
勉強においても同じような効果が生じるため、赤ペンで書きなぐった字をずっと見ていると疲れる、といわれています。
しかしながら、「赤色」は信号や標識などにも使われているように、特に目に付く色です。そのため、どうしても覚えられないことを赤ペンで書くと、目立つので記憶に残り易いといわれているので、このような使い方をするといいでしょう。
「青と赤の効果はよくわかったけど・・・『同じ寒色の緑じゃだめなの?』って思った人もいるのでは?実は緑色にも青色と同じような気持ちを落ち着かせる効果はあるんだけど、緑のペンは時間がたつとやや見にくい場合も。でも、感じ方はそれぞれ違うから、緑色の方が集中できるって人もいるかもしれないよ。まあ、今すぐに100円で始められる勉強法だし、とにかくまずはやってみて、どっちの色が集中できるか試してみては??」
青い「ペン」の方がいいのはなぜか?
「青色」が暗記力アップにいい影響があるのはわかったけれど、なぜ「青いシャープペンや鉛筆」ではなく「青ペン」なんでしょうか?
それは、ペンやボールペンで書くと、シャープペンや鉛筆と違って、自分が間違えたところを消せないからです。間違えた所が一目瞭然のため、後で見返したときに、自分がどこが苦手なのかをすぐに知ることができます。
しかしそれ以上に、「青ペン」を使う1番のメリットは、自分の頑張りが目に見えてわかるという点です。
青ペンの中でも特におススメなのは「水性ボールペン」。なぜかというと、勉強して書きなぐれば書きなぐるほど、インクの減りが目に見えてわかるからです。
「自分はこれだけ勉強をやっているんだ」という達成感が得られるため、これを積重ねていくことで、試験のような緊張する場面においても、自信を持って挑戦することができます。また、インクがなくなったペンを捨てずに取っておくと、「青ペン○本分勉強したぞ~」とモチベーションアップにもなり、結果的に今後の勉強へのやる気にもつながります。
同じ方法でモチベーションアップにつなげ、暗記に取り組んでいる公務員受験生がいましたので、ここで1つご紹介します。
「ペンを消費していく暗記法」(公務員受験生 ニカさん)
書きなぐっていてもできるだけ疲れないペンを数本用意する(書きなぐっているとペン先がつぶれやすいので、細字のものよりは、太字のものの方がオススメ)。それで、自分が覚えたいものを、ひたすら要らない紙や暗記用ノートなどに書きなぐっていく。
ペンのインクの消費量で自分の努力の量を見ることができ、1本消費していくごとにモチベーションが上がる。その時にぶつぶつと呟きながらやると、耳からも覚えやすいので、喫茶店や図書館よりは、家の中の方がオススメ。
だらだらと書きなぐっていくというよりは、「この3回を書いたら自分は確実に覚える」という意識を持ってやると、覚えるスピードも上がっていく。
「勉強中って誰かが褒めてくれるわけでもないし、自分で自分の頑張りを認めてあげるってすごく大事だよね!それに、ニカさんの言うとおり、同じ『書きなぐる』でも、意識の持ち方次第で全然結果が変わってくると思うよ。ちなみに、ペンの太さは0.7ミリ位の少し太いペンがおススメだよ!」
ちなみに・・・ペンをおススメする理由の1つに、「ペンは消せないからいい」とはいってみたものの、最近はいろんなペンがあり、字を消せることを売りにしているものも結構ありますよね(笑)。
「青ペン暗記法」の基本的なやり方としては、ノートに書きなぐるというものですが、ノートを使って勉強するのが苦手・・・というタイプの人もいます。
そういった、テキストに直接書き込む派の受験生にとっては、消せるペンの方がおススメかもしれません。テキストを2周目・3周目と繰り返すときに、青ペンを消せたほうが便利な場合があるからです。
資格受験生の中にも、消せるペンを上手に活用している人がいました。勉強のやり方は人それぞれなので、ノートを使うのがあまり好きではない方は、この方法の方が向いているかもしれませんね!
「語呂合わせや思いついたことをテキストに書き込む」 (行政書士合格者験生 コロスケさん)
行政書士試験を受ける際、lecのテキストの余白を利用して暗記をしました。
私の場合、テキスト以外のノートなどを使って単語帳などを作るのは面倒臭い、と感じてしまうタイプだったので、直接テキストに色々なことを書き込んだほうが覚えられました。思いついた語呂合わせを、カラーペンでテキストにどんどん書き込んでいきました。
また、語呂合わせだけでなく、関連事項など、その時に思いついたことも書き込むようにしていました。その際、こすると消えるボールペンなどを使うと、簡単に書き直しもできて便利でした。また、覚える内容によって色ペンを変えることで、視覚的にも覚えやすくなりました。
LECのテキストは余白が多く、たくさん書いても本文が見えなくなるということがないので、書く暗記法がやりやすいです。たくさん書きこんでから、何度もテキストを読み直すことで、必要なことが頭に定着していきます。
「今はいろいろなペンがあって、PILOTのフリクションボールペンなんかは、書いた部分にドライヤーを当てるだけで字が消えるんだよ~!すごいよね。これだと、一気に消せるからすごく便利だね。」
2.青ペン暗記法の3つの効果的なやり方とは?
青ペンで書く→暗記力がアップする→試験に合格する・・・なんて簡単なことなら、誰も苦労はしませんよね。
何事にもコツがあるように、暗記においても、そのやり方や気持ちの持ち方によって、結果が全く違うものになります。
では実際に、青ペン暗記法は、どのようなやり方をすれば効果的なのでしょうか?
とにかく書きなぐる
代表的な「青ペン暗記法」のやり方は、書く、ではなく、とにかく書きなぐるです。
何も難しいことは考えず、また特にきれいな字で書く必要もなく、ただひたすらノートに書きなぐるだけです。
公務員受験生の声の中でもご紹介しましたが、書きなぐるときには、だらだらとただ「書く」という行為に満足するのではなく、「3回書きなぐったら覚えるぞ」とか、自分の決めた目標を頭に置きながら書くいいでしょう。そうすると、より効率的な暗記につながるはずです。
書きなぐるときは、できれば1枚の紙などではなく、ノートの方がいいでしょう。消費したペンを取っておくと、モチベーションアップにつながるのと同じように、青色に染まったノートを後で見たときに自信につながるからです。
まずは、とにかく青ペンとノートを用意して、ぜひ試してみてください。
青ペン+蛍光ペンを利用する
書きなぐる「青ペン暗記法」のほかにも、効果的な青ペン利用法があります。
それは、資格試験や公務員試験など、試験に合格するために必要な「反復学習」を行う際に、「青ペンに加えて、蛍光ペンを利用する」という方法です。
「反復学習」の際に重要なのは、いろいろなものに手を出さず、1つのテキストや参考書を繰り返す、ということです。
脳に記憶を定着させるためには、同じ作業を繰り返すことが重要なので、言い回しの違う参考書などにあちこち手を出すよりも効果的なのです。
では、この反復学習の際に、青ペン+蛍光ペンをどう利用すればいいのでしょうか。
具体的な方法はというと、テキストや問題集を何度も復習する際に
1週目は、青ペンで重要事項などを書き込む
2周目は、特に重要なところや覚えられない青ペン部分に、蛍光ペンでマーカーをする
3週目は、また間違えた・覚えられない部分に、別の色の蛍光ペンで重ねてマーカーをする
という風にくりかえしていきます。
すると、何度も繰り返し間違える所や自分が苦手な所が、パッと見でわかるので、さらに復習を行う際にとても役立ちます。
この方法は、テキストや問題集に限らず、自分でまとめたノートを復習する際にも活用できますね。
同じように、青ペン+蛍光ペンを利用して、暗記に活かしている公務員受験生がいましたので、ご紹介します。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
「青ボールペン焼き付け法」(公務員受験生 うぐいす豆さん)
中学時代に理科の先生が「青は記憶に残りやすい」と言っていたのを聞き、以後暗記モノだけでなく、ノートもシャーペンと青ボールペンでとっています。色分けしすぎると記入が大変ですが、記憶に残りかつ2色なので効率もいいです。
それから私は、更に脳裏に焼き付けたい重要度MAXのときは、青ボールペンで書いた上からオレンジの蛍光ペンを引くことをおすすめしたいです。なぜか、試験などで思い出す時、頭の中でノートの画が浮かんできます!
オレンジと青の対比色が効果を発揮してくれます。特に日本史や政経など時系列を覚えるときは、シャーペン、青ボールペン、オレンジ蛍光ペンこの3本で試してみてください!
「たくさんの色を使うと、なんとなく気分が上がるタイプの人もいるけど、実際はあまり色を使いすぎると大事なとことがわからなくなったりするんだよね・・・(笑)うぐいす豆さんのように、色をシンプルに使って勉強すると、イメージとして大事なところが浮かんでくるからおすすめだね。」
青ペン+シートや下敷きを利用する
昔ならではの方法かもしれませんが、ペンで書いた箇所を、色の付いたシートや下敷きで隠しながら復習している人も多いのではないでしょうか。
赤ペン+グリーンシート、または緑ペン+赤シートがスタンダードな組合わせですが、このペンを青ペンに持ち替えた場合、「グリーンや赤のシートでは文字が隠れない・・・」という声がよく聞かれます。
そんなときは、濃い青ペンではなく、水色などの少し淡い色のペンを使ってみてください。すると、濃い青のシートや下敷きなどで隠すことができます。
シートで隠しながらの暗記法が自分に合っているという人は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
「暗記法としては同じ類だけど・・・最近は、暗記したい部分にマーカーをして写真を撮り、スマホアプリに取込むと、マーカー部分がマスキングされる『アンキスナップ』って商品もぺんてるから販売されているんだ。すごい時代だよね~。なんといっても、重いテキストなんかを持ち歩かなくてもいいっていうのがいいよね!このアンキスナップを使って勉強している受験生の声も紹介しておくね。」
「アンキスナップ暗記法」(司法書士受験生・行政書士合格者 りりこさん)
ぺんてるの暗記用マーカーと暗記用アプリ「アンキスナップ」を使って暗記する方法です。
暗記用マーカーで暗記したい箇所をマークし、そのページの画像を暗記専用アプリで読み込むと、暗記したい箇所がマスキングされます。マスキングされた箇所は、クリックすれば表示されます。
自分専用の暗記シートが作れるので、大変便利です。従来の暗記ペンとシートを使った暗記方法をスマホで行えるので、外出先でも移動中でも暗記ができるようになり、とても重宝しています。
現在、司法書士試験の勉強をしていますが、申請書の雛形の暗記にこの方法が役立っています。
★番外編★資格受験生の「色」活用法
他にも青ペンだけでなく、「色」を意識して、かつ、うまく活用して、暗記に活かしている資格受験生がたくさんいました。
その一部を、ここでご紹介します!
「アウトプットの正誤に3色を使用する」(行政書士受験生・宅建合格者 ふくせいさん)
資格試験には、「インプット」と「アウトプット」が大事なのは、みなさんご承知のとおり。
インプットには、日ごろ聞きなれている音声教材を、とにかく通勤電車の中でもどこでも聞きまくる。そしてほどなく頭が回転した時点で、アウトプットを開始。アウトプットには、使い慣れた一問一答集を使用。
正誤には、5mm程度のカラーシールを利用し、緑はOK、赤は不安、黄色は要確認と色分けをしておけば、次に読んだときに問題のレベルが確認できる。
このように繰り返し繰り返しインプット・アウトプットを続けることにより、基礎力は定着します。
「ふくせいさんは、自分の理解レベルを信号のように色分けして、パッとわかるような工夫をしているんだね。1回目に赤だった部分が2回目で黄色、3回目で緑とレベルアップしていく感じが、モチベーションアップにもなりそうで、すごくいいかも。」
「暗記教材を3色で作成し、耳から聞いて暗記する」(司法書士受験生 りゅうほうさん)
暗記対象教材を自分で録音し、それを会社の行き帰りなど細切れ時間に聞いて暗記しています。
この勉強法の良いところは、繰り返し聞くことで無理せずに暗記ができるところです。読み上げ用の暗記教材は赤、青、白の三色で文字列を作成し、暗記時にそれぞれの内容が識別しやすいように工夫しています。これは大学受験時代に利用していたスーパーラーニングという教材のノウハウを活用しております。これで大学の時は2週間くらいで2000語の英単語を暗記しました。
「りゅうほうさんもやはり、3色だね!やっぱり色は使いすぎず、コレくらいがちょうどいいっていうのは、受験生共通のような気がするな~。」
3.まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、受験生の間で伝説化している「青ペン暗記法」を中心に、色やペンの活用方法について、資格受験生・公務員受験生の声も交えつつご紹介しました。
「いつやるの?今でしょ!」でも有名な東進ハイスクール講師の林先生は、著書の中で「『こういう風に勉強しなさい』といわれてその通りのやり方でやるのは勉強とはよばない。自分で自分なりのやり方を模索しなければ向上しない」と言っていました。
まさにその通りで、結局は、自分に合った勉強法・暗記法を自分で見つけ、努力することが大切なんだと思います。
しかしながら、すぐにでもできる方法は、一度試してみる価値は大いにあるのではないでしょうか。もしかしたら、今回ご紹介したような暗記法が、自分に向いているという可能性もありますからね。
まずは、あまり深く考えずに、一度「青ペン暗記法」も試してみてはいかがでしょうか。
「最後に、NBAに日本人として初めて1巡目で指名された八村塁選手の名言で、頑張る受験生にエールを贈ります。『ずっと全力でやっていると、ここだという時に力が出ない。大事な時にもう一つ先の力を出すことが大事』。受験生の皆さん、がんばれ~!」
<登場人物ご案内>
ふくちゃん:とっても賢く、資格を知り尽くしている。博士っぽい見た目だが、中身は幼くかわいいキャラクターのため、ふくちゃんと呼ばれている。