【公認会計士】監査・財務会計のスペシャリストであることを証明する資格。公認会計士の独占業務である会計監査を行う「監査法人」や、会計・税務処理を請け負う「会計事務所」、またコンサルティングや組織内会計士など、その会計知識を武器に、主に「資本市場の番人」や「経営者のよき相談役」として、それぞれの選んだ様々な形で活躍することができます。
1.難易度
(かなり難しい)
「会計最高峰の国家資格」とも言われ、司法試験や不動産鑑定士と並ぶ「日本の三大国家資格」と呼ばれるだけあり、難易度の高い資格だと言えます。平成30年度の合格率は11.1%※ですが、実は10%を下回る年も多く、ここ数年高めの数字となっています。
※合格者/願書提出者(願書提出者数は、第I回、第II回のいずれにも願書を提出した受験者を名寄せして集計したものです。) [公認会計士・監査審査会「平成30年公認会計士試験(論文式試験)の合格点及び合格率等について(資料)」より]
平成30年公認会計士試験の合格発表について≫
(公認会計士・監査審査会ホームページ)
2.受験資格
年齢、性別、学歴、国籍等に関係なく、誰でも受験できます。
大卒資格も必要ないので学生でも受験でき、平成30年度の職業別合格者構成比では、なんと合格者の56.3%が学生でした。※
※公認会計士・監査審査会「平成30年公認会計士試験合格者調(資料)」より
3.試験方式・科目・免除制度
公認会計士になるには、短答式と論文式の2段階の試験を順に突破する必要があります。
試験方式
- 短答式試験・・・マークシート(択一式)/必須4科目
- 論文式試験・・・筆記試験/必須5科目+選択1科目(計6科目)
試験科目
<必須科目>
- 財務会計論(簿記、財務諸表論) ※
- 管理会計論 ※
- 監査論
- 企業法
- 租税法 (論文式のみ)
※論文式試験では、財務会計論と管理会計論をまとめて「会計学」として扱われます。
<選択科目>
論文式試験で1科目のみ選択
- 経営学
- 経済学
- 民法
- 統計学
免除制度
現行の公認会計士試験制度では、主に社会人の方など様々な方が受験しやすいよう、いくつかの免除制度が設けられています。
- 短答免除制度
一度、短答式試験に合格すると、合格発表日から2年間(合格発表日の年度の翌々年度まで)の論文式試験は、申請により短答式試験の免除を受けられます。
例)平成28年度の短答式試験(第Ⅰ回、Ⅱ回のいずれでも可)に合格された方は、平成28・29・30年度の論文式試験は、短答式試験を再度受験することなく受験できます。
- 論文式試験一部科目免除
論文式試験の一部の科目にのみ合格した場合、合格発表日から2年間は当該科目の試験の免除を受けることが出来ます。
この他、大学教授や博士学位取得者、対象の資格保持者、実務経験者など、一定の要件を満していれば、申請により、試験科目の一部を受験をせずに免除される場合があります。 [公認会計士・監査審査会「試験科目の一部免除等について」より]
公認会計士試験 免除制度について詳しく見る ≫
(公認会計士・監査審査会ホームページ)
短答式・論文式試験に合格したら、もうひと頑張りです。 2段階の試験の合格のほか、2年以上の実務経験(合格の前後は問わず)と実務補修・修了考査を経て、晴れて「公認会計士」として登録することができます。
4.公認会計士試験スケジュール
公認会計士試験は例年、年度ごとに2回の短答式試験と、1回の論文式試験が実施されます。
第Ⅰ回 短答式試験
- 願書出願:8月下旬~9月中旬
- 試験日:12月上旬
- 合格発表:1月中旬
第Ⅱ回 短答式試験/論文式試験
- 願書出願:2月上旬~2月下旬(第Ⅱ回短答式/論文式 共通)
- 短答式試験日:5月下旬
- 短答式合格発表:6月下旬
- 論文式試験日:8月下旬(3日間)
- 論文式合格発表:11月中旬
直近の試験実施スケジュールを見る ≫
(公認会計士・監査審査会ホームページ)
5.どんな人が合格しているの?
学歴は?
2018年(平成30年度)公認会計士試験の合格者の学歴を見てみると、最も合格者構成比が高かった上位3つがこちら。
- 大学在学(短大含む):43.1%
- 大学卒業(短大含む)以上:38.2%
- 高校卒業:6.2%
注目すべきは実に合格者の4割以上が大学在学中の学生であること。大学によっては、学内で公認会計士試験の対策講座が開かれていたり、手厚いサポートを受けられたりする大学もあります。ちなみに出身学部だと、やはり経済学部や商学部といった、公認会計士に関連する学部の出身者の合格者が多いと言われています。 しかしながら、全く会計と関係ない学部出身の合格者も実際に居ることや、高校卒業の合格者も5%以上を占めていることから、その人のやる気次第で、学歴に関係なく目指せる資格ということがわかります。
年齢・性別は?
2018年(平成30年度)公認会計士試験の合格者は以下の通りです。
- 合格者平均年齢:25歳
- 最低年齢:18歳/最高年齢:55歳
- 男性:79.6%/女性:20.4%
構成比としては合格者の実に8割以上が20代で、合格率が特に高いのも20代です。かなりの難関資格であることから、勉強に割ける時間の多さも関係しているのかもしれませんね。 とは言え、同じ調査の「職業別」では、学生や無職・その他の方を除いた合格者も14%近くいますので、決して社会人では合格できないというわけではありません。
また、近年の女性合格者の割合は20%前後で、ひと昔前と比較すると少しずつ増加傾向にあります。バリバリ働く女性も多いこの時代の流れと共に、男女関係なく評価される公認会計士という職業を選ぶ女性も増えつつあるようです。
※データは公認会計士・監査審査会HP(平成30年公認会計士試験合格発表について)より引用
まとめ
いかがでしたでしょうか。会計のスペシャリスト・公認会計士になるまでの道のりは、決して簡単なものではありません。しかし、その分のやりがいやメリット、資本市場においての重要性や社会的貢献度も高い職業であり、目指す価値は大いにあるのではないでしょうか。