どこにでも居る普通の大学2年生・さとる。バリバリ働いて稼ぐ社会人に憧れはあるものの、何になりたいかはまだはっきりしていない。ふと耳にした「公認会計士」が気になっていると、不思議な人物が近づいてきて、何やら「公認会計士」について詳しく教えてくれるようです。
(さとる)「自由な時間がある今のうちに、何か就職に向けて資格を取りたいなぁ。『公認会計士』ってなんだか響きがかっこいいし、気になるけど……そもそも、どんな仕事なんだろう? 」
(謎の人)「さとるくん、なんだかすごく『公認会計士について知りたい』っていう顔をしてるね。」
「えっ確かにそうだけど。きみは誰?」
「まぁ僕のことはいいから。確かに学生にはなじみがないかもね。よし、一から教えてあげよう!」
「全然誰だかわからないけど、親切で心強い!不思議!」
1.公認会計士の仕事って知ってる?
公認会計士は、「会計のスペシャリスト」とか「資本市場・株式市場の番人」とも呼ばれる国家資格です。会計の最高峰資格なんて言われることも多いですね。 そんな公認会計士ですが、普段関わりがないと、「何をしている人なのか?」なかなか知る機会がないのも事実。
どこが魅力的?大学生にも人気の公認会計士
特に学生の方には、公認会計士の主な就職先である「監査法人」「会計事務所」という言葉も、あまりなじみがないですよね。でも実は一方で、日本、アメリカ、中国などを含む12ヶ国の経済大国のビジネスを学ぶ大学生を対象に調査をした人気就職先ランキング(Universum)では、世界の4大会計事務所(通称:Big4)であるアーンスト&ヤング、デロイト・トウシュ・トーマツ、KPMG、プライスウォーターハウスクーパースといった事務所が、Google社やApple社などと肩を並べ、毎年のようにトップ10にランクインしている人気ぶり。そう聞くと、「どんな仕事で、どこがそんなに魅力的なの?」と、なんだか少し気になってきませんか?
まずは、実際に日本で公認会計士を目指す受験生・合格者に、ざっくりとその「仕事の魅力」について聞いてみました。
★仕事の魅力アンケート~公認会計士受験生・合格者の声~
公認会計士は、有資格者にしかできない「独占業務」を行うことができ、専門性はかなり高いと言えます。しかしながら、「名前は聞いたことがある」「会計に関する難しそうな資格」くらいの認識の人も多いかもしれませんね。
「会計かぁ。簿記とは違うのかな?経理みたいなもの?」
「簿記とは切っても切り離せないから、もしそういった数字を扱うのが楽しいなら、まずは最初の一歩をクリアかもね。でも、『経理』という範囲よりも、ぐんと仕事の幅が広がるよ。さとるくんは、将来どんな仕事をしたいの?」
「うーん。公務員みたいに、利益と関係なく人の役に立てる仕事もいいな。でも逆に、民間企業で経営に関わるのも面白そうだよね。できるなら、海外でも働けたりしたらかっこいいなぁ。まだ先のことだから、夢は広がるけど……。」
「それなら『公認会計士』っていう選択はありかも。働き方によって役割は違うけど、今言ったことが全部できる可能性がある仕事だよ。」
「えっ全部!?」
ここで活かせる!公認会計士の3つの活躍の場
公認会計士と一言で言っても、その活躍の場はさまざま。もちろん「会計」の知識を軸に働くのですが、どこに勤めるかによって、その仕事内容も変わってきます。そして、選択肢がたくさんあるということも魅力の一つ。主な活躍のステージは、次の3つに分けることができます。
(1)監査法人
(2)会計事務所
(3)一般企業
では、このそれぞれの活躍のステージごとに、公認会計士の仕事を簡単にご紹介します。
(1)監査法人
公認会計士の試験に合格した場合、多くの人は初めに監査法人に就職する傾向があります。 「監査」とは、簡単に言うと企業の成績表(=財務諸表・決算報告書)をチェックする仕事のこと。
この成績表は企業自身が作るので、どうしても、水増しや粉飾(資産の過大計上や負債の過少計上などにより、実際よりも利益が出ているかのように、見かけだけとりつくろうこと)の可能性がないとは言えません。しかし、この成績表が事実と異なっていると、これをもとに株式投資や銀行の融資の意思決定などを行う利害関係者は、困ってしまいます。そこで、成績表が企業の状況を正しく表しているか、独立した立場から検証し、「公正なものである」と証明するのが監査業務です。
この「監査業務」こそ公認会計士の独占業務で、「監査証明」を出せるのは公認会計士だけです。公正な立場で国の健全な経済活動のために働くという意味では、公務員の立場とも少し似ているかもしれませんね。
公認会計士は「監査」という独占業務の他、経理業務、コンサルティング業務、税務業務など、幅広い業務を請け負うこともあります。近年では監査法人でも、特にコンサルティングやアドバイザリー部門を強化しようという傾向もあるようです。また、部門やその人のやる気・能力次第では、海外出張や海外赴任の可能性もあります。
「一日中数字と向き合っているだけじゃなくて、意外といろんなことをするんだね。監査も、それ以外の業務も、責任重大でやりがいがありそう。」
「そうそう。監査は、基本的には経営状況の変化が社会に与える影響が大きい企業に対して行うから、普段名前を目にする企業や、本当にいろんな企業と関わる可能性がある。数字はもちろん、経営者とも上手に向き合う必要があるから、意外とコミュニケーション能力が大事らしいよ。」
(2)会計事務所
公認会計士の活躍の場として、もっとも身近でよく目にするのは「会計事務所(税理士事務所※)」ではないでしょうか。最初は監査法人へ就職する方が多いですが、のちに会計事務所へ転職する方、独立開業し自分の会計事務所を持つ方も少なくありません。公認会計士の資格を取ると、税理士として登録することもできるので、開業のタイミングで税理士登録をし、税務業務を行うというパターンも多いようです。
会計事務所での業務の種類・範囲はその事務所によってさまざまですが、巡回監査(定期的に企業を訪問し、帳簿などの資料をチェックして、正しい記帳処理が行われているかを確認する)などの会計業務、例えば相続税や起業・経営にともなう税などの税務相談・税務申告業務、記帳代行、さらには給与計算や、コンサルティング業務を請け負う事務所もあります。
一部の大手会計事務所を除くと、主に中小企業が顧客となることが多いでしょう。公認会計士であれば、専門家として会計や経営の知識をフル活用し、具体的な数字の面からアドバイスや支援をしてあげる、といった活躍もできます。また最近は、他の事務所との差別化のために、「医療」「飲食業」など顧客の業種を絞ってサービスを提供する「業種特化型会計事務所」も増えてきています。
※「会計事務所」と「税理士事務所」は、呼び方の違いだけで実質は同じもの。ただし「公認会計士事務所」という名称は、所長が公認会計士である場合にだけ名乗れます。
「監査法人は大手企業、会計事務所は中小企業がお客さんってかんじ?」
「事務所の規模にもよるけど、ざっくり言えばそんなかんじ。いずれもなくてはならない存在だよね。だって決算や税務申告は毎年必ずあるし、会計に詳しくない経営者にとっては、コンサルティング面での期待も大きいと思うよ。」
「なるほど。将来的には、独立して自分の会計事務所を……っていうのも、かっこいいね。」
「夢があるよね~。ただ、独立開業する場合には、実力はもちろん、営業力や人脈も大事になってくるから、雇われている場合より、会計に限らずいろんな能力を身に着けていく必要があるね。」
「うーん。資格を取ったところで終わりじゃなくて、常に努力が必要なんだね。」
(3)一般企業
「会計」から想像しやすいところでは、銀行や証券などの金融業界で、経理業務や投資、企業価値評価などの業務に携わる方もいます。他にも、コンサルティングファームなど、監査法人や会計事務所でも請け負うことのある「コンサルティング業務」に特化した企業で、経営コンサルタントとして活躍する公認会計士もいます。
また、財務や会計などは、どんな企業でも必ず必要ですので、会計やコンサルティングなどとは一見関係のない業界で、企業内会計士として働く道も。公認会計士の資格を持っている場合、単なる経理部や財務部の一員というよりは、会社全体のお金を扱い、会計の専門家として、経営者と同じ目線で企業を内部から支えていく、という資質が求められるようです。
「一般企業にも公認会計士っているんだね!」
「最近はかなり増えてきてるみたい。好きな企業で働けるから、より選択肢も広がる。もちろん大手企業や有名企業も魅力的だけど、例えば、ベンチャー企業とかであれば、まさにこれから大きく成長していくのを一緒に体験できるかも!」
「それも面白そうだなぁ。要するに、社会全体で必要とされている仕事なんだね。」
「この他にも、数は少ないみたいだけど、金融庁などで公務員として働く人も、いるにはいるらしいよ。」
「まさに無敵な資格に思えてきた……!」
2.公認会計士の働き方はひとつじゃない
「仕事は面白そうだけど、もしかして、その分ものすごく忙しくて、休みすらなかったりするのかな?僕だったら、いくらやりがいがあっても、ちゃんとメリハリをつけて、たまには羽を伸ばしたいな……。」
「仕事とプライベートとのバランスや、自分の人生設計と合っているかっていうのも、仕事を選ぶ上では大切だよね。」
公認会計士としての生活
仕事面では、責任もやりがいもある会計のスペシャリスト。なんだか責任もある分、「すごく忙しそう」というイメージもありませんか?「一体どんな働き方をしているの?」、女性なら「結婚して出産や育児をすることになったら、仕事は続けられないの?」などなど、気になることはたくさんありますよね。公認会計士を「生活」や「人生」という大きな視点で見た場合のメリットについて、こんなアンケートを採ってみました。
★ライフスタイルの魅力アンケート~公認会計士受験生・合格者の声~
※複数回答可
公認会計士には【定年】がない
「『生涯現役で働ける』が多数派かぁ。やっぱりそれだけ仕事が大好きな人が多いのかな?」
「もちろんそういう人も居るだろうね。あとはこの時代、『老後が不安』っていう人も多いんじゃない?公認会計士には定年がなくて、自分が望む限り、働き続けることもできるからね。」
もちろん、監査法人や企業には定年がありますが、一度資格を取って「公認会計士」として登録すれば、資格そのものに有効期限や年齢制限といったものはありません。例えば、独立開業して自分の会計事務所を持てば、生涯現役でバリバリ仕事を続けることもできます。あえて事務所を大きくせず、老後にできる範囲で仕事を続けるということもできそうです。
【就職・転職】に有利
就職はもちろんのこと、「仕事や職場が合わない」「年収アップしたい」といった理由での転職など、さまざまな事情で新しい職場を探す場合がありますよね。そんな時、公認会計士の資格を取れば、会計に対する一定以上の知識・能力があることが証明できます。監査法人や会計事務所へのアピールになることはもちろん、一般企業でも「会計のスペシャリスト」を欲しがっているところは多いので、転職のための武器として資格取得を目指す人も多いようです。
また、働く女性の中には、結婚や出産を期に職を手放して、キャリアを諦めてしまう人も、まだまだ多いかもしれません。ですが、出産・育児で一度キャリアを中断してしまった場合でも、「公認会計士」の資格があると、比較的復職がしやすいのだとか。公認会計士業界は、特に繁忙期は本当に人手不足なこともあり、パートで働いてもらえる有資格者の募集も増える傾向があります。
「社会人でも取得するメリットは大きいんだね。働きながら勉強なんて、かなり大変そうだけど……」
「確かに学生よりも、時間捻出は大変な場合も多いだろうね。でも、実際に働きながら勉強して、合格している社会人も毎年居るよ。」
「すごい!学生でも、つい勉強サボっちゃったりするのに……僕も見習わないと。」
【独立開業】ができる
「公認会計士」の資格を持っていれば、会計知識を軸にさまざまな仕事を行うことができるので、自分で独立開業するという選択肢もあります。開業する場合、会計事務所やコンサルティング関連の会社が多いようですが、他にも、最近では会計に関わるソフトやサービスの開発など、少し違った視点から会計知識を活かして独立するパターンもあるようです。
「自分が開業するなんて考えたこともなかったけど、会計事務所ってそんなに簡単に開業できちゃうの?」
「もちろん、経験やスキルなんかの土台づくりは必要だよ。自分の事務所を続けていくには、 仕事をもらうための人脈や営業力もいるしね。でも、会計事務所の開業自体は一人でも自宅でもできるから、『将来的には開業したい』って考えている公認会計士も多いんじゃないかな。」
公認会計士は本当に激務?
一般的に「公認会計士は激務」というイメージがあったりもしますが、実情は勤め先によって違います。確かに忙しい場合も多いようですが、特に、いわゆる「監査法人」「会計事務所」といったところでは、決算期などの繁忙期と、閑散期との差が激しい傾向があります。その分、繁忙期は朝から晩まで働いて、その他の時期にうまくやりくりをしてまとまった休みを取る、というメリハリをつけることもできるかもしれません。
一般企業の場合は、その企業や立場・役割によって忙しさは変わってきます。独立開業した場合も、自分のやり方次第で忙しさはまちまちのようです。
「たとえば、自宅の近くで独立開業して、時間に融通をきかせて家事・育児と両立している女性も居たりするんだって。」
「へ~、かっこいいね!公認会計士って一言に言っても、バリバリ働きたいのか、家庭とのバランスを重視するのかとか、その人の『仕事』の位置づけによって、働き方は選べるんだね。」
3.本当に高収入?公認会計士の給料
「公認会計士のお給料ってどのくらいなんだろう?責任も重そうだから、やっぱり結構もらえるのかな~?」
「急に現実的な話になったね。」
「せっかく必死で勉強して手に入れた資格なら、なるべく長く活かしていきたいし、そのためにはお金も大事だと思うんだ。」
「確かに、合格して終わりじゃないから、仕事内容以外のことも気になるよね。」
「高収入」のイメージも比較的強い公認会計士。 たとえば今は公認会計士ではない仕事をしている人が、たくさんの苦労を乗り越えて公認会計士の資格を得たら、そのお給料はどうなるのでしょうか?
【所得アップ】は見込めるの?
★所得・年収アンケート1 ~公認会計士受験生・合格者の声~
「『所得アップが見込める』が8割以上!やっぱりそこもみんなが公認会計士を目指す大きな理由なのかな。」
「いくらやりがいがあっても、お金は生活していく上で無視できない部分だからね。」
もしも今、『何も専門的な資格を持っていない』という状況なら、国家資格である公認会計士の資格を取ることで、就職や転職による所得アップが見込める可能性は高いかもしれません。
会計事務所や監査法人・コンサルティングファームなどの求人の給与面についての記載を見てみると、具体的な金額についての記載はあまり見つかりませんでしたが、「公認会計士の有資格者は優遇」と記載のある求人は多いです。やはり実務経験が重視されるようではあるものの、「有資格者」を目指す価値はありそうですね。一般企業の中にも資格手当が出る会社はありますので、場合によっては転職をしなくても、今勤めている会社で所得アップが狙える可能性もあります。
【年収】は実際、どれくらい?
では具体的に「年収」として見た場合、一体どのくらいの水準が見込めるのでしょうか。まずは公認会計士受験生の「理想の年収」を聞いてみました。
★所得・年収アンケート2 ~公認会計士受験生・合格者の声~
「理想は1,500万円以上!夢が大きいな~!」
「実際その人の努力次第だけど、例えば監査法人で『パートナー※』というかなり上のポジション以上まで昇進したり、自分の事務所を開業して成功したりすれば、年収2,000~3,000万円くらい稼ぐ人もいるって話も聞くよ。」
「あながち夢でもないのか……!」
※パートナー…監査法人の共同経営者。通常の企業で言う役員のような立場だが、 監査法人の場合は「出資者」かつ「経営者」となる。
監査法人の「パートナー」まで行かなくても、公認会計士の年収は、同世代の平均年収より高めであることが多いようです。 平成29年度の賃金構造基本統計調査をもとに算出すると、公認会計士・税理士としての1年目の平均年収は約450万円程度。同じ調査で全体の1年目の平均年収を見てみると、約270万円程度。なんと1年目でも150万円以上の差があります。
また、公認会計士・税理士全体の平均年収は、同じ調査で約950万円。理想の年収で3番目に多い800万円~1000万円あたりは、ゆくゆくは現実的にも狙える額と言えそうです。ただしこの数字は、公認会計士・税理士の合算で、かつ定年後に業務量をおさえて仕事を続けている方なども含めた平均年収。実際には、現役で活躍している公認会計士の平均年収は、もう少し高いかもしれませんね。
もちろん、小規模な会計事務所や一般企業に勤める場合、また独立開業した場合などは、その企業や事務所、自分の能力、また地域によっても差が大きいようです。でも、「極端に年収が低い」ということは、あまりなさそうです。
「実は正直、合格するまでに参考書とか予備校代とか、いくらかかるんだろうって思ったけど……合格すれば、投資した以上のものが手に入りそうだね!」
4.公認会計士に向いている人とは
「公認会計士の仕事は少しだけ分かってきたけど、自分には向いてるのかな?」
「そこはとっても重要だね。実際にはなってみないとわからないと思うけど、みんなはどんな風に考えているのかな?」
「数学が好き」という意見も多いけど……
★向いている人アンケート ~公認会計士受験生・合格者の声~
※上記グラフは、自由記述にて回答いただいた内容を大まかに分類し集計したものです。
「『真面目で向上心がある人 』が向いているって意見が多いんだね!」
「もちろん合格までにかなりの努力がいるし、合格してからも、さらに広く深く学んで『自分はこれ』っていう得意分野やなんかでプラスアルファの価値をつけていかないと、キャリアアップしていけないからね。」
「次に、『誠実』『数学が好き』かぁ。誠実でありたいとは思ってるし、数学は別に嫌いではないけど、どうなんだろう?」
「そのあたりも重要なポイントだね。でも、たとえ数学が苦手でも、公認会計士になっている人もたくさんいるよ。難しい計算式を駆使する『数学』というより、『たくさんの数字を扱う』ってイメージかな。もっと言えば、計算するのも仕事の中の一部でしかないしね。さとるくんには、公認会計士は結構向いてると思うなぁ。 」
「 本当?ちょっとうれしいな。『真面目さ』『向上心』『誠実さ』あたりは、本人の心がけ次第で、これからもっと伸ばしていくこともできそうな部分だね!僕も意識していこうかな。」
公認会計士の合格までの道のりや、その後の職業生活の中で、「真面目」「向上心がある」「数字が好き」ということは強みになるでしょう。また監査を中心とした公認会計士に関連する仕事は、企業や経営者と向き合い、時には「だめなものはだめ」「こうした方がいい」などと言える、本当の意味での誠実さも特に重要になってきそうですね。まさに「市場の番人」として仕事をしていく覚悟が必要です。
5.仕事がなくなる?公認会計士の将来性
「会計のスペシャリスト」として、社会への貢献度も高く、たくさんの可能性と活躍の場・役割がある公認会計士。引く手あまたのように思えますが……?
これからは「人間力」がより重要に
「決算や税務がなくなることはないだろうから、仕事がなくなることもなさそう!公認会計士の資格を取れば、将来は安泰だね。」
「うーん、実は、最近では機械に仕事を取られて、このままでは会計業界そのものの将来性も危うい。なんて声もあったり……。」
「あっ!そういえば、規模は違うけど、最近は家計簿なんかもスマホアプリでできちゃうし、勝手に集計してくれて毎月の状況が把握できる……。」
「でも、アプリと『生活スタイル』や『今後の人生設計』みたいな個人個人の状況を踏まえて、家計について相談したり、その中で信頼関係を築いたりはできないよね。企業向けの会計ソフトも同じで、改善提案などをしてくれたとしても、限界がある。やっぱり、公認会計士にしかできない仕事もたくさんあるんだ。」
時代の流れと共に、求められる能力も少しずつ変わってきている公認会計士。優れた会計ソフトの登場や、人工知能(AI)の技術の発展によって、機械に取って代わられてしまう……と言っても、やはり機械は機械です。また、例えば何かがあった時にも、機械には責任を取ることはできませんよね。人と人とのコミュニケーションや、人間ならではの発想や判断、着眼点、ホスピタリティなども重要となる公認会計士は、やはり居なくてはならない重要な存在です。
逆に機械でもできるような作業は機械に任せて、効率化をはかり、従来以上に人間ならではの部分で公認会計士としての価値を高めることが、今後、公認会計士として活躍する上では、より重要になってきそうです。
まとめ
「あれ?もう十分に魅力的だと思ったけど、まだアンケートが残ってる?」
「まぁ、ここからは番外編みたいなものだけど、『仕事そのもの』や『働き方』とはちょっと違う視点から見てみるのも、結構面白いよ。」
社会の中で活きる「公認会計士」
公認会計士受験生が資格取得を目指す一番の理由は、「スキルアップ」「キャリアアップ」といった仕事面での能力や専門性を上げることを目的としている場合は多いようです。しかしながら、その資格を取ることによって、「仕事そのもの」以外にも、もたらされるメリットがあるようです。
★魅力アンケート番外編~公認会計士受験生・合格者の声~
※複数回答可
「社会的な信頼!確かに、頭も良くて信頼できる人じゃないと、務まらない仕事だもんね。」
「うんうん。」
「名乗ってみたいもんだね。」
公認会計士にあまり関わりがない人だと、ざっくりとしたイメージしかわかないかもしれませんが、公認会計士の仕事について知っている人は、もちろんその価値もよく知っています。仕事柄、高い知識や倫理観、常に公正な立場であることが求められますから、年齢とも性別とも関係なく、「公認会計士」というだけで信頼度はかなり高いのです。そして、そんなすごい資格を持っている「スペシャリスト」と名乗れる自分に、おのずと自信もつくでしょう。
「あとは、『社会に貢献できる』ところが魅力的って感じている人も多いみたいだね。」
「監査法人で健全な市場を守る役目を果たしていたり、会計事務所で企業や個人事業主の経営を支えたりしているからだね。」
「うん。それに、そういった仕事を通して、たくさんの企業や経営者と出会うことができるから、人脈もどんどん広がっていく。」
「そうやってついには、『彼女ができるかもしれない』んだね!(※アンケート結果参照)」
「それはその人次第だと思うけど……、一生懸命勉強して試験に合格して、社会的な地位も得て、責任ある仕事をバリバリこなしていたら、それだけでかっこいいからね。そういう可能性もあるかもしれない……かな?」
公認会計士を目指す受験生の中には、「社会」という大きな視野で見た時に、「公認会計士」が、より価値のある資格であると感じる人が多いようです。健全な資本市場のためにはなくてはならない存在ですし、社会的な貢献度も高く、やりがいもあるでしょう。監査法人に就職した場合は、普通はなかなか出会うことのない大企業の経営者と会うチャンスもあるかもしれませんし、人脈を広げるという面でも、魅力は大きいようです。
「どう?少しは公認会計士の魅力が伝わったかな?」
「どんどん公認会計士の資格が気になってきたよ。本気で検討してみようかな!」
やりがいがあって、収入も比較的よく、知れば知るほど格好良く見えてくる公認会計士。 もちろん合格はひと筋縄ではいかないでしょうし、合格してからも繁忙期や責任に耐えるガッツや、継続的な努力が必要です。しかし、もし「会計」や「経営」、あるいは「市場の番人」というワードを聞いてなんだかピンと来たとしたら。もちろん「自分に合っているか」ということもありますが、やりたい!と思えるのであれば、「会計系の資格」としてはかなり可能性も広く、とても魅力的な資格だと言えそうです。
<登場人物紹介> 謎の人:誰だか知らないけどやたらと資格に詳しくて教えたがり。ついつい怪しい人かもしれないということを忘れ、みんなが会話を続けてしまうという謎のスキル(?)を持っている。これも何かの資格の為せる技なんだろうか?それもまた謎である。 さとる:今時のどこにでもいる大学2年生。まだ将来の方向性は曖昧だが、いざ就職活動で困らないよう、何か資格を取りたいと考えている。よく周りの人に「寝てる?」と聞かれるのが悩み。(大抵起きている) |