海外にも進出しているような会社で活躍したいという気持ちもあり、大学卒業後に大手機械機器メーカーに就職した、28歳会社員の「達也」。
今回は、貿易関連としては唯一の国家資格である『通関士』の仕事ややりがい、年収などについて、とっても賢く資格を知り尽くしたふくろうの「ふくちゃん」が教えてくれます。
(達也)「うちの会社は部品の一部を海外から輸入している関係で、貿易関連の知識があればもっと仕事がスムーズに進むのに・・・って思う場面が最近多くってさ。。」
(ふくちゃん)「じゃあ、『通関士』の資格取得を目指してみたら?貿易に関わる全ての人に役立つ資格だよ。」
「そうなんだ~。『通関士』ってなんとなくは知ってるけど、物流会社の人とかが取る資格ってイメージだったかも。仕事に活かせるんなら、ぜひ勉強したい!!」
「いい心がけだね!通関士資格は、達也のようにメーカー勤務の人や、商社・百貨店などで働く人にもすごくおススメなんだ。」
1.通関士の仕事とは?税関の手続き代行だけじゃない?
「通関士は貿易の最前線って感じで、かっこいいイメージがあるからなんだか憧れるなぁ。。僕も試験に合格できたら、すぐに『通関士』になれるんだよね?」
「残念ながら、試験に合格しただけでは『通関士』を名乗ることはできないんだよ。この点は、注意が必要なんだ。」
通関士とは?試験に合格しただけではだめってほんと?
通関士試験には、受験資格は特になく、学歴、年齢、経歴、国籍等に関わらず、誰でも受験することが可能です。
しかし、試験に合格しただけでは「通関士」を名乗ることはできません。資格取得後に、運送会社や海運会社・倉庫会社などの「通関業者」に所属し、税関の確認を受けることで、初めて「通関士」と名乗ることができるのです。
「通関士」は弁護士や司法書士など、他の士業のように、独立開業はできません。そのため、輸出入者の代行業を行う「通関業者」に勤務することで、「通関士」としての仕事をすることができるのです。
大きな商社・メーカーなどは、自社に通関部門を備えている場合もあるため、商社・メーカーに勤務して、通関士としての業務を行うケースもあります。
「そう言われると、うちの会社にも通関部門があったかも。。じゃあ、僕が通関士試験に合格すれば、社内で存分に資格を活かすチャンスもあるってことだね!」
「そうだね!ちなみに通関業者は、専任の通関士を事業所に1名以上置く義務が定められているんだよ。」
通関士の2つの重要な仕事とは
では、「通関士」は実際にどんな仕事をしているのでしょうか。
通関士の仕事を一言でいうと、輸出・輸入の際に必要な「税関」での各種手続きの代行業務です。貿易の際には、必ず「税関」の許可が必要となりますが、その際の手続きや必要書類の作成などを、メーカー・商社・百貨店などの企業や、個人の顧客に代わって行っています。
では、通関士が具体的に何をしているか、モノを輸入する際の流れを例にとってみていきましょう。
まず日本に何かを輸入しようとした際には、その輸入品はいったん保税地域(=関税を留保しておけるところ)に保管されます。そこで通関士が税関に対し、その保税地域に保管されているモノについて、貨物の品名、数、価格などを申告し、輸入していいかの確認を行います。そして審査ののち許可が下りた場合は、通関書類を作成し、関税・納税申告を行います。
これらの手続きを経て、ようやく輸入者である、メーカーや小売・商社・個人エンドユーザーなどに引渡されます。
ありとあらゆるモノが日本へ輸入されてきますが、その製品や材料などによって、輸入の際に適用される法律もそれぞれ違うため、通関書類作成などの業務には、幅広い専門知識が必要となります。また、これらの審査や書類作成・申告には、知識だけでなく、時間もとてもかかります。そのため、通関士のような専門家が必要なのです。
「なるほど~かなり重要な仕事をしてるんだね。ちょっと気になったんだけど、個人の輸入者ってどんな人?どんなものを輸入するのかも、あんまりイメージがわかないな。。。」
「例えば・・・海外に住んでいた人の引越し貨物とか、海外をまたにかけて公演を行っている人の商売道具なんかもそうだね。とはいえ輸入者の約8割は、会社などが占めていて、個人は残りの2割くらいかな。」
通関士には、税関での手続きを代行する業務に加えて、もう1つ重要な仕事があります。
それは、もし何か問題があり、申告後に税関から輸出入の許可が出なかった場合の交渉や、さまざまなトラブル対応を行うことです。企業の代理の立場で、不服申立てをしたり、税関に対して申立ての場で陳述を代行することもあり、貿易分野の行政書士や税理士のような役割を担っています。
大手の通関業者は分業化されており、現場で検査などを専門にするスタッフがいる場合もありますので、このような会社に勤務する通関士は、通関貨物の内容点検や税関検査の立ち合い、仕分けなどの力仕事はする機会は少ないかもしれません。
しかしながら、そういったケースはまれで、ほとんどの通関士が、検査や内容点検などの現場の業務も仕事のひとつとしています。
このように、港や空港に出向いて検査対応などを行う機会もあるので、通関士の仕事は外出の方が多いと思われがちですが、実はそうではありません。実際は、申告書の作成などのデスクワークが仕事全体の8割程を占め、税関に出向いたりするのは約2割程度となっています。
通関士の仕事にはどれくらいの「英語力」が必要?
通関士の仕事をするのに、「英語力はどれくらい必要なんだろうか?」という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
もちろん、実際の業務の中で簡単な英語を使用する機会はあるため、ある程度の英語力は必要ですが、通関士として仕事をする上で、それほど高いレベルを求められることはありません。
しかしながら、通関士の知識を生かして、商社や貿易業の買い付け担当などとして働きたい場合は、高い英語力が必要になります。そのため、こういった会社への就職や転職を希望している場合には、TOEICなどが高得点であれば有利に働くでしょう。
「通関士として働く場合には、どちらかというと、高い英語力よりも、輸出品の商品知識(素材や製法など)や商品の税率の暗記という要素のほうが大きいから、こっち方面を勉強した方がいいよ。逆に、『英語をバリバリ使って働きたい』と考えている人は、通関士よりも商社とかの方が向いているかもしれないね。」
2.通関士の現状・活躍の場
「通関士として働くには、通関業者に勤務する必要があるってことはわかったけど、全国どこでも仕事できるの?」
「もちろん、全国どこでも資格を活かせるよ。ただ全国には、函館・東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・門司・長崎・沖縄の9か所の税関があるんだけど、やっぱり、貿易が盛んな大都市のほうが活躍の場は多いってのが事実かな。」
「なるほど。やっぱり通関士の数も東京が一番多いの?」
「うん。平成31年4月1日現在で、東京が全国で最も多い2,431人の通関士がいるんだ。その次が大阪の1,622人で、横浜・神戸の順に続くよ。」
通関士の現状・将来性は?
通関士試験の受験者は、2000年ごろまでは、通関業者に勤める男性社会人がほとんどだといわれていました。しかし、近年では多様化し、学生や女性の受験者もかなり増えてきており、通関士資格の人気は年々高まっています。
とはいえ、弁護士や会計士が約4万人、司法書士も2万2千人ほどと、他の士業の人数が全国数万人規模なのに対して、通関士の人数は平成31年4月1日時点で、全国8,216人しかいません。そのため、全国的に通関士は不足しており、通関士資格保持者は、あらゆる場所で求められています。
実際に、アジアとの貿易量の増加と共に、全国の通関業者の数も年々増えており、2010年に870社だったのが、2019年4月には955社 となりました。通関業者が増加傾向にあることで、今後も通関士の需要はさらに高まることが予想されます。
また、2009年からは、郵便で運ばれる貨物の一部にも、輸出入申告が必要になりました。この動きに伴い、郵便事業株式会社が通関業に進出しており、通関士を採用するようになったことで、ひとつ仕事の幅が広がったといえます。
「通関士ってまだまだ人数が少ないんだね。今後も、取引のグローバル化はさらに進むだろうから、通関士の活躍の場は広がりそうだね!」
通関業者だけじゃない!通関士の知識が活かせる場とは?
近年、女性や学生の通関士試験受験者がかなり増加傾向にある大きな理由のひとつは、通関業者以外の場所でも、通関士の知識が役に立つという認識が広がっていることがあげられます。
特に、通関業者と関わる機会が多い、メーカー・商社・百貨店などに勤務している人や、個人で商売をしている人の場合、通関士の知識は直に仕事に活かすことができます。
メーカーの場合、原料や部品の一部などを海外から仕入れたり、自社製品を輸出したり、ということを日々繰り返しています。こういった貿易には、必ず通関業務が発生するため、通関士の知識があることは仕事に大きなプラスとなるでしょう。
商社に勤務している場合は、輸出入に関する規制、制度などの知識は不可欠なものになります。
商社で働いていると、乙仲(おつなか)と呼ばれる海運業者などから質問を受ける機会も多く、通関士の知識があることで、答えられるようになるので、仕事がスムーズに進むようになります。また、「扱う商品が、いったいどのような商品なのか」という必要な情報を、詳しく業者の人に伝えることができるので、「通関書類の許可が一発で通ったよ」なんて、感謝されることもあります。
近年では、百貨店や量販店なども、直接海外から商品を買い付けすることも増えてきています。そのため、通関業の許可を取得して、通関業務を兼業している会社が多くなっており、ここにも通関士の活躍の場は広がっています。
また、インターネット販売が盛んな昨今においては、個人で会社を立ち上げて、製品を輸入・販売している人もいます。そういった場合も、通関士の知識は仕事にとても活かすことができます。
「大企業に勤めていると、通関業務は通関士に任しておけばいい・・・なんて言う人もいるけど、実際に通関士とやり取りを行うときに、サラッと質問に答えられたり、必要な情報を伝えられるとすごくいいよね。」
「うん、それがまさに理想!!早く通関の知識を身につけて、仕事がバリバリできるようになりたいな。」
「ちなみに、『貿易実務検定』っていうのもあるんだけど、国際マーケティングについて、必要書類・物流・貿易全体の流れとかが学べるから、こちらもおすすめだよ!国家資格ではないけど、自分の貿易の実務能力や知識がどの程度のレベルにあるのかを証明する、ひとつの手段になるからね。」
3.通関士の魅力・やりがいとは?
「通関士にどんどん興味がわいてきてるんだけど・・・仕事の魅力ってどんなところなんだろう?」
「やっぱり、仕事で世界とつながっていられるっていうのは大きな魅力だよね。それに、仕事の結果が通関士の腕次第って面もあるから、かなり重要な役割を担っているし、やりがいはあるよ。」
通関士のやりがいや魅力はこの3つ!
1.人の役に立てる
通関士のメインの仕事である、税関における手続き代行業務は、専門知識が必要なだけでなく時間もかかり、輸入する側の人たちにとっては、とても大変な手続きです。
通関士は、このような煩雑な業務を代理で行うだけでなく、なんらかの理由で輸入許可が下りなかった場合には、交渉して問題を解決に導くまで全てを任されています。そのため、直接的に人の役に立つことができるだけでなく、なくてはならない存在として、重要な役割を担っているため、大きなやりがいを感じることができます。
「日本で災害があったときに、海外からの輸入物資などの許可を下ろして、間接的ではあるけど、人の役にたててうれしかったという人の話もきいたことがあるよ。」
2.自分の実力が試され、評価される
通関士の仕事は、顧客である輸入・輸出業者などから、いかに情報を引き出せるかが大きなポイントになります。
なぜかというと、輸入・輸出品の材質・形状・数など・・・申告内容がほんの少し違うだけでも関税率が変わってくるからです。また、更に言えば、貿易の相手国がどこか、また特別な条約の対象になっているか否か、などによっても関税率が異なります。
そのため、顧客からうまく情報を引き出し、顧客の希望通りに通関書類の許可を得たときは、大きな達成感を感じることができます。
また、通関士がいなければ輸入・輸出が認められないケースもありますので、顧客からとても感謝される仕事といえるでしょう。
3.専門分野でグローバルな仕事ができる
通関士になりたいと思う人の多くは、世界に興味がある方が多いのではないでしょうか。実際に、日本にいながらも、海外を相手に専門性の高い仕事ができるというのは、やはり通関士の最大の魅力です。
通関士は世界中からやってくるモノ、世界へ出て行こうとするモノを管理する立場にあるので、違法な物品の輸出入を防いだりすることも重要な役割のひとつです。このような、国の利益や安全の確保につながる、なくてはならない存在として、仕事を任されているというのは、とてもやりがいを感じられる部分であり、誇りに思う人は多いようです。
「知り合いの通関士は、自分が手続きを担当した商品が、日本中の色んなところで販売されたり人気が出たりしたときに、ひそかにうれしかったり、誇らしい気分になるって言ってたよ。色んな商品知識が身につくところも魅力の1つだね!」
★資格受験生の声~通関士資格取得を目指す理由~★
「通関士の魅力がわかったところで、LECのWeb奨学生試験に応募してくれた方の、『通関士資格取得を目指す理由』を一部紹介するね。」
「昔から憧れていた世界を感じられる通関士になりたい」(30代女性 会社員)
私が通関士を目指そうと思ったのは、今は昔の大学3年生だった頃です。元々塾よりは独学派で試験に望むタイプだったため、当時DVDつきの通信講座で始めました。英会話よりは読解で英語を使うことに興味があり、また、物を通じて世界を感じられる、貿易系国家試験の最高峰である通関士にぼんやりと魅力を感じていました。
まだ学生で実務に従事したこともなく、通信教育での本の読解だけでは現実のイメージ結びつけるのが私には難しく、いつしか勉強は断念してしまいました。
それから数年、貿易業務に従事したいという気持ちはありましたが、私にとっては手の届かない憧れに近く、全く関係ない仕事を続ける中で、ついに貿易業務事務に従事できる機会が訪れました。
通関士などではなく、シッパーとしてインボイスや輸出入の書類を準備するちょっとした事務でした。その機会を通し、もっと輸出入に関する専門的で絶対的な知識をつけて働きたいという夢が生まれました。
それでも、簡単に夢に全力で踏み出せる性格ではなかったため、違う貿易資格を取得したり、通関士の新しい教材を本屋で探し、独力で地味な勉強を感じました。試験を二回受験しました。結果、独力でただ本と向き合うことに、限界を感じました。方法を変えなければだめだと思いました。
貨物分類についてユーチューブでLECの無料講義を視聴したときに、目からウロコの気分になりました、マニアックで病的な知識の蓄積に思えた貨物分類が、まるで人に披露できるちょっとした豆知識を覚えるような感覚になりました。
少し話が脱線してしまいましたが、すでに学生を終え十年以上がたつ中で未来を思う中で、専門的な絶対的な知識を持って働くということに、今も魅力を感じます。
かねてより人生の節目節目で思い出す、ものを通じて、世界を感じられる通関士という資格に全力でチャレンジしたいと考えています。
「長い間憧れていた『通関士』になるための一歩を、ついに踏み出したんだね!やっぱり、仕事で世界を感じられるところに魅力を感じているんだなぁ。。僕も負けないように頑張らなくては!!」
「持っている行政書士資格に通関士資格を組合わせて実務に活かしたい」(40代男性 会社員)
一昨年度の10月に、商社の審査法務部に異動となりました。これまでの経理部から新しい知識・知見が必要となったため、行政書士試験にチャレンジしようと思い立ちました。そこで、急いでLECの行政書士講座に申し込みました。働きながらの勉強はなかなか辛いものがありましたが、横溝先生の興味深い授業のおかげで1発合格を果たすことができました。
そこで勉強をやめてしまうのではなく、今年は、通関士試験にチャレンジすることとします。勤務部署は一昨年の審査法務部から変わりありませんが、現在、商社に勤めており、通関士試験の勉強をすることで、実務にもいい影響があるに違いありません。
また、通関士と行政書士の勉強の組み合わせは、行政書士の有望分野である入国管理領域にプラスになるに違いありません。必ず今年も一発で合格するよう頑張ります。
「こうやって、実際に通関士として働かなくても、資格を取ることで仕事に知識を活かせるし、ステップアップできそうだね。」
4.通関士の年収は?手当てはつく?
「ふくちゃん、ちょっと聞きづらいんだけど・・・通関士って実際どれくらいの年収なんだろう?」
「やっぱり気になるところだよね~。一般的には、平均的な会社員の給料とほぼ同じくらいとは言われているね。」
「なるほど。まあ、独立開業はできない訳だから、そりゃそうか。。」
「でも、海外と取引があるような企業では、通関士資格があることで就職・転職の際に優遇されたり、合格報奨金や資格手当てがつく場合も多いよ!」
実際の年収ってどうなの?
弁護士や司法書士のように、開業できる士業の場合は、年収1千万円を超える様な人もなかにはいますが、通関士の場合には、基本的には通関業者の会社員として働くので、一般的な会社員と同じくらいといわれています。
通関士の資格手当てが出る会社は多いので、平均的な会社員の給料に、毎月の資格手当てがプラスされた金額くらいが、実際の年収と考えていいでしょう。
資格手当ての金額は、ひと月あたり3,000円~15,000円が相場ですが、転職サイトなどを細かく見てみると、10,000円位の会社が多いようです。また、通関士資格取得を推進しているような会社では、資格取得費用を会社が全額負担してくれるケースもあり、実際に取得すると、合格報奨金が出る場合もあります。
実際に求人サイトを見てみても、通関士として働く場合の年収は、400万円~650万円が多く、平均的な年収となっています。ただ、やはり通関士として実務経験がある場合の方が優遇され、給与も高い傾向にあります。
通関士の給料は、勤める企業の規模や業種・形態などによって多少差が出るのも事実です。一般的には、国内の貿易・物流関連の会社より、外資系企業に勤める通関士の方が給料が高く、年収800万円を超える場合もあるようです。
「貿易関連の会社なんかでは、通関士資格を取ることで、管理職へ一歩近づくって場合もあるよ!資格は努力の証明にもなるからね。」
厚生労働省が行った統計調査から、通関士資格を持った人が特に活躍している「道路貨物運送業」「水運業」「航空運輸業」の賃金についてまとめてみました。この結果を見てみると、陸運・空運・海運業界の中では、航空運輸業界がやや年収が高い傾向にあるようです。
道路貨物運送業 | 水運業 | 航空運輸業 | |
平均年齢(歳) | 46.7 | 42.3 | 39.4 |
勤続年数 | 11.5 | 12.5 | 13.1 |
年収 | 434万8700円 | 609万5500円 | 795万3300円 |
※データは、厚生労働省ホームページの平成30年賃金構造基本統計調査より引用。ここでいう「年収」とは、(きまって支給する現金給与額)×12ヶ月+(年間賞与その他特別給与額)にて計算しています。
※男女・学歴に関わらず、全てを合計してだした平均値を引用しています。
「ここでは、通関士として働く場合の年収についてみてきたけど、通関士資格を活かせる商社や大手メーカーなどでは、もっと高い給料をもらっている人も多いかも。」
「商社ってやっぱ給料が高いイメージがあるな。。僕は、まずうちの会社で通関士の資格手当てが出るかを調べてみようっと。」
5.通関士にはどんな人が向いている?
「最初は通関士資格を取ることが目的だったけど、知れば知るほど通関士として働くことにも興味がわいてきたなぁ。。実際、通関士として働く場合に、適性とかってあるのかな??」
「通関士は、日本と海外の架け橋になっているわけだから、まず世界に興味がある人ってのは前提だね!」
通関士に向いている人とは?
■世界情勢に興味があり、勉強を継続できる人
通関士は、貿易に関わる仕事ですので、世界情勢や時事問題などに興味関心があることは大前提です。
最近でも、日韓関係の悪化に伴い、貿易にまで影響を及ぼしているというニュースがありましたが、世界と日本とのつながりや関わり方が貿易にも影響を及ぼし、状況も大きく変わってくることがあります。
そのため通関士は、世界に目を向け、日々のニュースなどで情報を収集し、変化に対応していく柔軟性がある人が向いています。
また、世界情勢が貿易に影響を与えるのと同じように、通関士の置かれている現状は、日々変化を続けます。新しい通達・特例措置などが次々に出てきますし、現在の法令の運用がどうなっているか・・によっても仕事に大きな影響を及ぼします。そのため、日々アンテナを張って、勉強し続けることができる人でないと、通関士はつとまらないと言えるでしょう。
「通関士は、試験に合格して終わりじゃないんだ!勉強を継続する大切さは、どの仕事にも共通することだね。」
■書類作成が得意な人
通関士は、現場で検査や内容点検などを行うこともありますが、仕事の割合でいうと、デスクワークが約8割を占めています。税関に通すための書類作成や、企業側に提示するデータ作成などの時間が最も多いので、毎日仕事に変化を求めるような人よりも、こういった細かい作業が得意な人の方が向いています。
また、国が定める「実行関税率表」にしたがって、輸出入品の適用税率を決定したりするなど、一見地味に見えるような作業を日々行っており、こういった目の前の業務をコツコツと淡々とこなしていく真面目さも必要といえるでしょう。
「通関士の仕事は、デスクワークの割合が多く、きめ細かい作業が必要だから、実は女性にも向いているんだよ。近年、通関士の女性人気が高まっているのも、理にかなってるってわけだね!」
■コミュニケーション力がある人
通関士は、税関でのトラブル対応や交渉なども重要な仕事のひとつです。
通関士の交渉力次第で、物事の動向が変わることも大いにあるため、トラブルにも柔軟に対応できる力が備わっていて、さらにはコミュニケーション力も高い人の方が向いています。
また、前にも述べたように、書類を作成・申告するにあたり、お客様からうまく情報を引き出すことが非常に大きなポイントになってきます。そのため、コミュニケーション力ももちろんのこと、人と接することが好きな人の方がいいでしょう。
「なるほど。。毎日、新聞やニュースを見る習慣をつけて、もっと世界に目を向けられるようになるぞ~~。」
「自分の努力次第でどうにでもなることも多いから、まずは通関士になりたいっていう気持ちが大切だね!」
■まとめ■
通関士の「仕事」「将来性」「魅力ややりがい」「年収」「向いている人」などについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
通関士資格は、貿易関連の会社で働く人はもちろんのこと、商社やメーカーなど、海外と関わりを持っている会社で働いている全ての人にとって、とても役立つ知識が学べる資格です。
今後も、取引のグローバル化はますます進んでいくことが予想されますので、通関士資格は、さらに注目が高まっていくことは間違いありません。ぜひ、世界に目を向け活躍できる、通関士を目指してみてはいかがでしょうか。
<登場人物ご案内>
ふくちゃん:とっても賢く、資格を知り尽くしている。博士っぽい見た目だが、中身は幼くかわいいキャラクターのため、ふくちゃんと呼ばれている。
達也:海外勤務などにも興味があり、大手機械機器メーカーに就職した28歳会社員。最近は、仕事を任されるようになってきたので、キャリアアップのためにも貿易の知識を身につけたいと思っているところ。