【通関士】は、財務省管轄の国家資格で、貿易関連としては唯一の資格です。「輸出入手続きを行うプロフェッショナル」であり、貿易立国である日本においては欠かせない存在です。
通関士試験に合格した後に、運送会社や海運会社・倉庫会社などの「通関業者」に所属し、税関の確認を受けることで、初めて「通関士」と名乗ることができます。
通関士資格は、貿易に携わる全ての人に役に立つだけでなく、今後さらに進むであろうグローバル化社会において必要とされる、今まさに注目の資格です。
1.難易度
(やや難しい)
過去5年の合格率は下記の通りです。
2018年:14.6%、2017年:21.3%、2016年:9.8%、2015年:10.1%、2014年:13.2%
平成18年(2006年)度に出題形式が大幅に変更になったことで、難易度が上がり、その年によってばらつきはあるものの、平均約10%前後の合格率となっています。
2.受験資格
受験資格はありません。
学歴、年齢、経歴、国籍等についての制限はなく、誰でも試験を受けることができます。
3.受験料
3,000円
4.試験科目・時間・形式
▼試験科目・時間
(1)通関業法 9:30~10:20(50分)
(2)関税法等※1 11:00~12:40(100分)
(3)通関実務※2 13:50~15:30(100分)
▼出題形式・配点
(1)通関業法 択一式:10点(10問)/選択式:35点(10問)
(2)関税法等※1 択一式:15点(15問)/選択式:45点(15問)
(3)通関実務※2 択一式:5点(5問)/選択式:10点(5問)/計算式:10点(5問)/
申告書:20点(2問)→ 輸出申告書と輸入申告書の作成問題がそれぞれ1問ずつ
※1 関税法等・・・関税法、関税定率法、関税暫定措置法、NACCS法、ATA条約特例法、TIR条約特例法、外国為替及び外国貿易法など
※2 通関実務・・・通関書類(輸出入申告書など)の作成要領や、通関手続きの実務(関税・消費税等の計算、課税価格の計算、貨物の分類など)
通関士試験は、上記3科目の試験により実施されていますが、一部試験科目の免除を受けることが可能です。科目免除の詳細は、税関ホームページにてご確認ください。
通関士試験の科目・科目免除の詳細を見る (税関ホームページ)≫
「ちなみに合格基準は、3科目全てでそれぞれ満点の60%以上って場合が多いよ。この3科目の中で、特に要注意なのは通関実務!ここで出題される輸出入申告書問題の難易度は、年度によって大きく変動するんだ。でも、難易度が高かったと思われる年には、通関実務の合格基準を満点の50%以上に下げる措置をとったりするから、それほど合格率に影響することはないよ。」
5.試験実施会場
全国13会場(札幌・新潟・東京・仙台・横浜・静岡・名古屋・大阪・神戸・広島・福岡・熊本・那覇)
6.試験の年間スケジュール
※通関士試験の日程は、毎年7月上旬に官報に詳細が公告されますが、おおむね下記のようになっています。
7月上旬~8月下旬 | 願書配布・出願 |
10月第1週の日曜日 | 本試験 |
11月下旬~12月上旬 | 合格発表 |
7.どんな人が受験しているの?
直近8年間の通関士試験受験者数等の推移は、下記の通りとなっています。
※データについては、税関ホームページ「過去の通関士試験受験者数等の推移(第1回~第51回)」より引用。
受験申込者数は、平成10年(第32回)の16,275人をピークに、徐々に下降傾向にあります。しかしながら、詳細データは未発表ですが、2000年ごろまでの受験者は、通関業者に勤める男性社会人がほとんどだといわれていましたが、近年は多様化し、女性や学生の受験者がかなり増えています。
また、通関業者に勤めていない、他業種の人が受験するケースも増えてきており、さまざまな会社において、通関の知識が必要とされるようになってきていることがわかります。
「通関士は、グローバル化がますます進んでいく社会において、今後さらに重要な役割を担っていく、なくてはならない存在なんだよ。通関業者で働かない場合であっても、海外と関わりの強いメーカーや商社・百貨店などに勤めている人や、そういった企業に就職・転職を目指す人にも、とってもおススメな資格だよ!」
7.必要な勉強期間・勉強のコツは?
▼勉強期間はどれくらい?
個人差があるので一概には言えませんが、通関士試験に合格するためには、少なくとも半年~10ヶ月位の勉強期間は必要です。
なかには、「3か月位の短期間で、ミッチリ勉強して合格した」という人もいます。しかしながら、学生の受験者も増えているとはいえ、やはり忙しい社会人の方が圧倒的に多いので、休日をうまく活用しながら、半年以上をかけて試験に臨むという人が多いようです。
▼勉強のコツやポイントは?
科目でいうと、「通関実務」を苦手とする人が圧倒的に多く、全ての科目で合格基準を上回ることが必要な通関士試験においては、この「通関実務」を重点的に学習することが最も重要となります。通関実務は、年々難化している傾向にあるため、どんな問題が出ても対応できるように、多くの過去問や演習を行うことが合格へのカギになります。
また、通関士の試験勉強では、関税定率法や通関業法など、たくさんの法律について学ぶ必要があります。試験内容においても多くの割合を占めているため、これらの法律をしっかりと理解することが、合格するために必要な2つ目のポイントです。
通関士資格は、時間をかけて勉強すれば、独学で合格することも可能ですが、聞きなれない専門用語などもたくさん出てくるため、途中で挫折する人がいるのも事実です。通関業に勤めていて、ある程度知識があるという場合以外は、予備校などを利用して勉強した方が、短期間での合格が実現できるかもしれませんね。
「通関実務の点数が足りず2,3回落ちた・・・なんて人も結構多いから、この科目をいかに攻略するかが大事!でも、計算問題が好きな人の場合は、得意科目にできるかもしれないよ。とにかく、全科目をまんべんなく点数が取れるように、繰り返し勉強することが必要だね。」
※上記内容は、情報を保証するものではございません。日程などが変更される場合もございますので、必ずご自身で各実施団体のホームページなどでご確認ください。
<登場人物ご案内>
ふくちゃん:とっても賢く、資格を知り尽くしている。博士っぽい見た目だが、中身は幼くかわいいキャラクターのため、ふくちゃんと呼ばれている。