マンション管理士の仕事とは?管理人と違う?管理業務主任者って誰?

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マンション管理士と管理業務主任者のイメージ

この記事を書いた人:T

「流れの早い業界で今後、不安だなあ・・・。」IT業界で営業の仕事をしている誠(34歳)。今後や定年後まで考え、長くできそうなマンション管理の仕事に興味をもちはじめています。

誠(誠)「ライスタ博士、早速なんだけど、正直、定年までは、今の会社、業界にいられないかな、、、と思ってて。」

ライスタ博士(ライスタ博士)「ふむ。で、何か興味のある仕事や資格はあるのかのう?」

誠「うん、年をとっても長くできそうな、マンション管理とかの仕事に興味はもってて。で、マンション管理士って資格の名前だけは知ってるんだけど・・・。あと、結局、全然違う仕事に関わってきちゃったけど、昔、大学生の時に宅建の資格を取得してるよ。」

ライスタ博士「そうか!宅建の資格をもってるなら、同じ不動産系の資格のマンション管理士は、試験勉強においても、非常に有利じゃよ。では今日は、マンション管理士の仕事や、関連性が非常に強い、管理業務主任者についてもみていこうかのう。」

目次

1.マンション管理士の仕事とは?

誠「まず、マンション管理士って、マンション管理人?とかにも関係してくる資格なの?」

ライスタ博士「ふむ。名前も『士』と『人』で1文字違い、よく勘違いされやすいんじゃが、結論を言うと、マンション管理士とマンション管理人は、もちろん全く関連性がないわけではないものの、仕事内容は全く異なるんじゃ。」

マンション管理士の仕事とは違う!マンション管理人の仕事とは?

マンション管理人の仕事は、マンションの住人が安心して、快適に生活できるよう、現場に常駐し、マンションを管理することです。

具体的には、
・住人の要望や外来者の対応、共用部分の鍵の貸し出しといった受付業務
・照明などの点検業務、修繕工事などの立会業務
・廊下・エントランスなどの清掃業務
・これらの各業務を記録する記録業務
など多岐に渡ります。
マンション管理人の仕事は、身近でイメージもしやすい仕事ではないでしょうか?

ライスタ博士「マンション管理人は、一般的に、比較的年輩の方の職業というイメージがあるかもしれんのう。」

マンション管理士の仕事とは?一言でいうと・・・

対して、マンション管理士の仕事は、一言でいうと、マンション管理に関する専門家マンション管理のコンサルタントです。
マンション管理士は、分譲マンションの住人から構成される管理組合やマンションの住人から、さまざまなマンション管理の問題に関する相談・依頼を受けて、助言・指導をし、問題解決に向けてサポートしていきます。マンション管理士は、法令に基づいて、国から認定された国家資格です。

マンションは、大きなメリットがある反面、さまざま問題も

マンション管理の話の前に、マンション自体について、ざっと見ていきましょう。
マンションは、タワーマンションのように眺望がよかったり、駅から近かったり、直結していたり、耐震・免震性・設備がよかったり・・・とメリットが多いです。同条件下の一戸建てを同価格で建築するのは不可能であり、この観点から見ると、マンションは非常にコスパが高い物件と言えます。

ただ、やはり、メリットの裏には、デメリットもセットとなって、ついてきてしまうもの。。。
まず、マンションは、単に1つの建物を区切っているだけなので、隣近所と近く、生活していくにあたってトラブルになりやすいというデメリットがあります。
また、入口、廊下、屋上、配管、外壁、エレベーター、駐車場、駐輪場、ゴミ置き場、配管、壁など、マンションの区分所有者が共同所有しているものが多数あります。そのため、これらの運用や大規模な修繕工事にあたっては、住人が数十、数百名となるマンションでは、住人の意見が一致しにくく、大きな問題となりやすい側面があるのです。

マンション管理の適正化のためには?

こういった問題点が多いマンションを適切に管理していくためには、
・マンション利用の規約・ルールの策定・見直し
・長期修繕計画の策定、見直し
・住人同士のトラブルの対応・調整
などが、とても重要となってきます。

これらに対し、マンション管理の専門家であるマンション管理士は、管理組合や住人からの依頼に基づき、マンション管理の規約・ルール・長期修繕計画の素案作成、見直しのアドバイス、住人トラブルの解決案の提示などを行い、マンション管理が適切に行われ、住人が安心、快適に過ごすことができるように、サポートしていきます。

誠「なるほど。マンション管理士とマンション管理人は全然違うんだね。マンション管理士の知識は、あってもよい気はするけど、マンション管理人の仕事には、直接はあまり関係しなそうだなあ・・・。ところで、マンション管理士の仕事って、みんなの役に立つ、やりがいのありそうな仕事だね!なんか、すごく興味でてきたなあ。」

2.マンション管理士と管理業務主任者

誠「あ、そう、マンション管理士とあわせて、もう1つよく聞く名前の資格・・・、えーと、、、なんだっけ?」

ライスタ博士「管理業務主任者のことじゃろ?」

誠「そう、それ!なんだか資格の名前からパッとイメージもわかないし、マンション管理士との関連性もよくわかんないけど。」

ライスタ博士「ふむ。確かに少しわかりにくいネーミングかもしれんのう。じゃが、マンション管理士と管理業務主任者は、非常に関連性の高い資格じゃ。」

マンション管理士と管理業務主任者の違いは?

マンション管理士と合わせてよく聞く管理業務主任者。マンション管理士は、「マン管」、管理業務主任者は、「管業」と略されたりしますが、この2つ資格の違いは立場の違いにあります。

そもそも、マンション管理については、「管理組合」(マンションの所有者による組合)と、その管理組合が管理業務を委託する「管理業者」という2つの当事者から成り立っています。
この2つの当事者によるマンション管理の適正化を目的として生まれたのが、マンション管理士と管理業務主任者です。

マンション管理士と管理業務主任者の違い

マンション管理士と管理業務主任者の違い

上記のとおり、管理組合側(住人側)の立場にいるのが「マンション管理士」管理業者側の立場にいるのが「管理業務主任者」です。

マンション管理士と管理業務主任者は、それぞれ立ち位置が異なりますが、目的は同じマンション管理の適正化。きちんとマンション管理を行って、マンションが荒れないように、住人が安心・安全に暮らせるようにするために生まれた資格です。

マンション管理士、管理業務主任者ともに、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)に基づく国家資格で、ともに、2001年から年に1回試験が実施されている比較的新しい国家資格です。

マンション管理士は名称独占資格

今まで説明してきたとおり、マンション管理のコンサルタントがマンション管理士の仕事ですが、実はこのマンション管理のコンサルタントは、資格がなくてもすることができます。マンション管理士にしかできない、という独占業務はありません。

ただし、この「マンション管理士」という名称を用いることができるのは、国家資格の取得者のみ。マンション管理士は、名称独占資格と呼ばれています。

他の国家資格でも、例えば、中小企業診断士(経営のコンサルタント)や、キャリアコンサルタントなども、資格がなければできない独占業務はない名称独占資格です。

マンション管理士を始めとした、名称独占の国家資格に共通しているのは、さまざまな背景を元に、国がその資格を求めているということ。また、国家資格を保有することで、実際の各コンサルティング業務をするにあたって、
・信用力が大幅にアップし集客や仕事がしやすくなる
・交流会などで、他の国家資格保有者と名刺交換がしやすくなったり、関係性が築きやすくなる
・同じ資格保有者との横の繋がりができやすく、情報交換がしやすくなる
といったようなメリットが多数見込めます。

ライスタ博士「マンション管理士でない者が、マンション管理士または、紛らわしい名称を使用した場合には、30万円以下の罰金に処せられるぞ。」

管理業務主任者には独占業務がある

では次に、管理業者の立場に立つ、管理業務主任者の仕事についてみていきましょう。
マンションの管理業者は、管理組合と業務委託契約を結び、マンションを管理していきますが、その際に、管理業者には管理組合に対し管理事務の内容・実施方法といった「管理の委託契約に関する重要事項の説明」や「管理事務の報告」を行うことが義務付けられており、これらは管理業務主任者のみ行うことができます(独占業務)。

管理業務主任者の独占業務
・委託契約に関する重要事項説明
・重要事項説明書への記名押印
・管理委託契約書への記名押印
・管理事務の報告

※「委託契約に関する重要事項」は、管理事務の内容及び実施方法、管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法、保証契約、契約期間、契約の更新、契約の解除に関する事項などで、法律で定められています。これらの重要事項については、説明会を開き、マンション管理組合の管理者やマンションの住人に対して、管理業務主任者から説明をさせることが、管理業者に義務づけられています。

ライスタ博士「なお、管理業者には管理業務主任者の設置義務(事務所ごとに30管理組合に1人以上)がある。また、管理組合からは、管理業者の担当は、管理業務主任者であることが望まれることも多い。そのため、単純に設置義務を満たすという目的だけでなく、社員全員に取得を推奨する管理業者も多いようじゃ。」

誠「なるほど。管理業務主任者は、マンション管理業務主任者っていう意味だったんだね・・・。重要事項の説明が管理業務主任者しかできないとか、設置義務があるとか、なんか宅建(宅地建物取引士)に似てるね。」

ライスタ博士「ふむ。マンション管理士には独占業務がないのに対し、管理業務主任者は独占業務がある。宅建も同様で、宅建の資格をもってる誠なら、イメージしやすいんじゃないかのう。宅建は、不動産取引業者に必要な資格、管理業務主任者はマンション管理業者に必要な資格じゃ。」

マンション管理士と管理業務主任者どっち取る?

誠「マンション管理士と管理業務主任者、結局どっちの資格を取ったらいいんだろう?」

マンション管理士と管理業務主任者の立場の違い、それぞれの仕事のイメージはつかめたでしょうか?
迷ったら、まず、立場が異なりますから、自分がどちらのポジションで働きたいかを考えてみましょう。
なお、マンション管理士と管理業務主任者の資格の特徴・目的から、単純に、転職・就職に活かすなら「管理業務主任者」コンサルタントとして独立開業を視野にいれるなら「マンション管理士」と考えてよいでしょう。

ライスタ博士「ただ、やる気があるなら、わしはどちらも取得するのをオススメするのう。理由は2つ。試験面、仕事面からのそれぞれメリットがあるからじゃ。」

オススメ理由(1)マンション管理士と管理業務主任者は、試験範囲がほぼ同じ!

まず、立場が違うだけで、マンション管理士も管理業務主任者も、目的はマンション管理の適正化と同じ。・・・ということは、当然試験範囲もほぼ同じということです。

資格スクールの講座でも、マンション管理士・管理業務主任者コースのように、セットになっているカリキュラムが多くあります。マンション管理士と管理業務主任者を合わせて学習することで、非常に効率よく学習を進めることができるからです。

なお、マンション管理士試験・管理業務主任者試験においては、どちらか一方に合格していると、もう一方を受験する際に「マンション管理士適正化法」に関する問題が5問免除される、というメリットがあります。難易度としては、マンション管理士の方が管理業務主任者より高め。例えば合格率も、2018年度の場合、管理業務主任者が21.7%、マンション管理士が7.9%とマンション管理士の方が低くなっています。実際のマンション管理士試験においても、この5点免除制度を利用される方は多いです。

ライスタ博士「ふむ。じゃが、マンション管理士と管理業務主任者のダブル合格を狙う場合、時間を空けると勉強内容を忘れてしまいやすいから、1年目にまとめて合格することを目標として、5点免除はあくまでも保険としてとらえる方がよいと思うのう。」

オススメ理由(2) 相手の仕事のやり方がわかる!

ダブルで資格取得をオススメするもうひとつの理由は、自分がどちらの立場に立っても、相手の仕事の観点・やり方がわかるという点です。
マンション管理士と管理業務主任者は、利益相反・対立関係という面があります。相手の仕事の観点・やり方ががわかれば、仕事の深み・幅が広がることが期待できます。
また、マンション管理士と管理業務主任者の2つの資格をもっていれば、どちらか1つだけの資格取得者と比べての差別化ともつながり、自分自身の強みになるでしょう。

ライスタ博士「実務では、業務委託契約を結んでいる管理業者が、マンション管理士が受けるような各種相談を受けることも多い。そのため、管理業務主任者はもちろん、マンション管理士の資格取得も推奨する管理業者も多いようじゃ。」

3.マンション管理士・管理業務主任者の転職・就職、独立開業

誠「そっかー。うーん、俺はまず、転職に生かしたいから管理業務主任者だなあ。けど、知識も深まるし、将来的にはマンション管理士の仕事にも興味あるし、試験範囲も被るんなら、ダブル合格目指してやってみようかなあ。。。」

ライスタ博士「では、今度はマンション管理士・管理業務主任者の転職や独立開業についてみていこうかのう。」

転職・就職なら管理業務主任者

管理業者への転職・就職を考えるなら、マンション管理士ではなく、まず管理業者に設置義務のある、管理業務主任者です。管理業務主任者の資格をもっていれば、有利になります。

実際に求人サイトをみても、管理業務主任者の優遇、資格取得を推奨しているマンション管理関連の企業が多数あります。中には、生かせる資格として、管理業務主任者の他に、マンション管理士と記載のある企業も。
先に説明したとおり、管理業務主任者に加え、マンション管理士の資格もあると知識の幅が広がりますので、特に面接時に、仕事への熱意という点からうまくアピールができれば、差別化につながり、有利に働く可能性があります。

マンション管理士の独立開業

独立開業すれば、定年はありません。年金に対する不安もあり、人生100年時代と言われるようになった現代にとっては、魅力的な働き方の1つではないでしょうか?

マンション管理のコンサルであるマンション管理士。住人側の管理組合からの依頼を受けてコンサルタントをする、という立場からも独立開業に向いた資格です。
国家資格ですから、マンション管理士の資格をもつことで信頼性が増します。

マンション管理士の現状

しかしながら、現状としてマンション管理士だけで、独立開業するのは、厳しい現状があるかもしれません。
公益財団法人マンション管理センターが2018年に行った「マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果の概要」によると、「マンション管理士として業務を行っているまたは以前活動をしていた」と回答したのは、全体の21.5%(本業5.4%、副業7.7%、以前活動8.4%)、活動を行ったことがないが、75.8%となっています。

ライスタ博士「そもそもマンション管理士の合格者の平均年齢は、46.5歳(2018年度)。年齢別に見ても、50歳代の合格者は、全体の24.6%、60歳以上が16.4%。4割以上の合格者が50歳以上と、非常に年齢層が高いのが特徴的なんじゃ。対して、このアンケートの回答者は、60歳以上が全体の51.6%と合格者よりさらに年齢層が高い。ただ、高齢者のライフスタイルなどを考慮にいれても、8割弱が『マンション管理士として活動を行ったことがない』と回答している結果になっておるのは事実じゃ。」

このような現状は、
・マンション管理士自体の実務経験が不足している
・管理組合からは、「管理業者に任せているから大丈夫!」と、管理業者の不正、不透明、不必要な支出をチェックし見直すといった管理組合の立場にたったマンション管理士の必要性がきちんと認知されていない
・マンション管理士がその必要性をうまくアピールできていない
など、複数の要因があると考えられます。

ライスタ博士「ただ、逆にこれらがクリアできれば、成功に近づくともいえる。独立開業して成功するためには、こういった問題を意識してクリアしていく必要があると思うのう。マンション管理士の必要性が、これからもっと世の中に浸透していくことも望まれる。」

実務経験や他の資格との組み合わせも考えてみる

現実的に、マンション管理士として、独立開業を目指すなら、他の資格との組み合わせや、今までの経験を最大限に活かすことも考えましょう。

マンション管理士の事務所で働くことが、やはり一番の経験になると思われますが、そのような専業の事務所の求人も、事務所自体も少ないのが現状です。
対して、マンション管理業者での勤務や、自宅マンションの管理組合での経験は現実的です。マンション管理士としてよい経験の一つになるでしょう。

また、他の資格との組み合わせとしては、建築士として施工管理の経験を積んできた方がマンション管理士の資格を取得すると、管理組合からの信頼度も高いため業務範囲が広がるでしょう。また、行政書士として開業されている方が、マンション管理士の資格を取得して、業務範囲を広げるケースもあるようです。

副業や週末起業も検討してみる

中小企業診断士、行政書士や社労士など他の国家資格の士業と共通するのですが、マンション管理士の独立開業にあたっては、パソコン、電話など最低限のものがあるだけで、自宅で開業できます。資金面での開業リスクは、飲食店などの開業と比較しても非常に低く、開業しやすい職業です。これは大きなメリットです。

また、他の起業同様ですが、まずはやってみる、やりながら経験やコツをつかんでいく、ということも必要です。

そのためには、まず週末起業や副業として、現在の収入は確保しつつ、リスクを最低限にしましょう。
まずは、ブログやSNSで情報を発信したり、地域の集まりに積極的に参加して名刺を配るなど、小さなできることからコツコツと行いつつ、「なんでもやります!」というスタンスで、小さな仕事でも断らずやりながら経験を積み、やりながら実績をあげていき、方向性を探っていくといいでしょう。こういった姿勢は、独立して成功していくためには重要です。

ライスタ博士「先に言ったとおり、マンション管理士は年輩の方が多く、2018年度の合格者の平均年齢は、46.5歳、50歳以上の合格者は全体の約4割。マンション管理には、クレーム対応や交渉などの人との対応が重要じゃし、トラブルを解決するのがマンション管理士じゃ。経験が豊富な、対応力をもった年輩の方に向いた仕事ともいえるのう。」

4.マンション管理士の年収・管理業務主任者の年収

誠「マンション管理士や管理業務主任者の年収ってどのくらいあるんだろう?やっぱり気になるなー。」

ライスタ博士「ふむ。参考になる数値を一緒にみていこうかのう。」

マンション管理業者に勤務する場合の年収

平成29年(2017年)の国税庁の民間給与実態統計調査において、不動産管理業も含まれる「不動産業、物品賃貸業(不動産取引業、不動産賃貸業・管理業、物品賃貸業)」の平均年収は417.9万円(平均年齢:46.0歳 男511.5万円、女302.9万円)です。なお、全業種合計の平均年収は432.2万円(男531.5万円、女287.0万円)となっています。

マンション管理業者の求人情報を見てみると、年収例として300~600万円の記載が複数あります。

マンション管理業者に勤める場合、当然その会社の規模や年齢、経験、勤続年数、役職によって異なるものの、年収は上記数値が1つの目安、一般的なサラリーマン程度と考えてよいでしょう。
なお、管理業務主任者やマンション管理士の資格をもっていると、毎月資格手当てが出る会社も。求人情報には、管理業務主任者15,000円、マンション管理士5,000円、宅建15,000円、など、複数資格手当てが出る会社もありました。

誠「へえー。こういう会社で管理業務主任者とマンション管理士と宅建をもっていれば、月35,000円、年間42万円の手当てかあー。これは、うれしいなあ。」

マンション管理士の年収

公益財団法人マンション管理センターが2018年に行った、「マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果の概要」のうち「マンション管理士としての業務に伴う過去1年間の年間売上高」のデータも、1つの参考となりそうです。

マンション管理士としての業務に伴う過去1年間の年間売上高

(1)マンション管理士を本業として活動を行っている人
・400万円以上:18.8%
・100万円以上400万円未満:30.4%
・100万円未満:37.3%
※収入を得たことがない:10.6%、無回答:3.0%。
※400万円以上の内訳・・・400万円以上700万円未満 10.2%、700万円以上1,000万円未満 3.3%、1,000万円以上2,000万円未満 2.3%、2,000万円以上 3.0%

(2)マンション管理士を副業として活動を行っている人
・400万円以上:1.9%
・100万円以上400万円未満:12.7%
・100万円未満が58.7%
※収入を得たことがない:23.7%、無回答:3.1%

ライスタ博士「こういうデータは、実務経験の年数による差や、年齢などによる働き方の差が大きいと推測されるが、単にマンション管理士の資格をとっただけで、すぐに全員が食べていくというのは難しいといえる。じゃが、100万円未満が多数いる一方で、マンション管理士が本業の人では、1,000万円以上も5.3%、うち2,000万円以上も3%おったのも事実じゃのう。」

マンション管理士の業務を受注したきっかけ

同アンケートのマンション管理士の業務を受注したきっかけを多い順にみると、
・所属する団体や関係者からの紹介
・相談会やセミナー講師の活動によって
・自己のホームページ等での宣伝によって
・地方公共団体で行うアドバイザー訪問派遣によって
・管理組合等への訪問によって
・マンションみらいネットの訪問説明、補助業務での訪問派遣によって
となっています。

ライスタ博士「仕事をもらうには、経験に加え、やはり人脈と行動力じゃ。これらの活動を参考にして、今までの人脈や経験を活かしつつ、副業として自分ができるところから始めてみる、というのも一つのやり方じゃ。」

5.マンション管理士の将来性とメリット

誠「ライスタ博士のおかげで、マンション管理士や管理業務主任者の仕事や状況がよくわかったよ。ところで、将来性とかって、どうなのかなあ・・・。」

ライスタ博士「ふむ。それには日本のマンション状況を知っておくことが重要じゃのう。そこから、マンション管理士や管理業務主任者の将来性もみえてくるはずじゃ。」

マンションの現状と将来

(1)マンションは増加

国土交通省のマンションに関する統計・データ等の「分譲マンションストック戸数」をみると、マンションは年々増え続けています。平成30年末(2018年末)の日本のマンション戸数は、約654.7万戸となっており、居住者の数も国民の1割と、近年、多くの人が分譲マンションに住むようになっています。マンション管理士・管理業務主任者の管理する、仕事の根本となるマンションの数は増えています。

(2)マンションの老朽化

同データの「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数 平成30年末(2018年末)」をみると、築40年超のマンションは81.4万戸で、ストック総数に占める割合は約1割。マンションの老朽化は急速に進んでおり、10年後には約2.4倍の197.8万戸、20年後には約4.5倍の366.8万戸になると見込まれています。また、旧耐震基準で建設されたマンションは全体の約16%、約104万戸となっています。
※公益財団法人 マンション管理センター試験研修部「マンション管理士ガイド」記載より

長期修繕計画の見直し、建て替えなどの老朽化対策や耐震診断・耐震改修工事の実施など、日本のマンションは大きな課題を複数かかえています。新築マンションであっても他人ごとではなく、劣化は日々進み、老朽化は必ず訪れる問題のため、長期間に渡ってどのようにマンションを管理していくのか、着実に計画性をもって取り組み、定期的に状況に応じて計画を見直していくことが必要です。

(3)マンション世帯主の高齢化

同データの「平成 30 年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」における「世帯主の年齢」をみると、70歳代以上の割合は、5年前の18.9%から22.2%へと増加、逆に30歳代以下の割合は、7.8%から7.1%と減少しており、マンション居住者の高齢化が進んでいることがわかります。また、「永住するつもりである」と回答したマンション区分所有者は、5年前の52.4%から62.8%へと、永住意識が高まっており、日本の超高齢化社会の進展とともに、今後マンション居住者の高齢化も急速に進んでいくと推測されます。

ライスタ博士「世帯主の高齢化が進むと、その先には、空き家問題、管理費・修繕積立金の滞納問題・不足問題、さらにこれらが進むとマンションの廃墟化にもつながっていきやすい。こうした対策にもきちんと取り組んでいかねばならん。」

(4)マンショントラブルの増加

同データによると、特にトラブルがないマンションは、5年前の26.9%から23.2%へと減少、何らかのトラブルを抱えているマンションは8割弱へと増加していることがわかります。具体的なトラブルの内訳は、居住者のマナー(違法駐車・駐輪、ペット飼育、生活者、バルコニーの使用方法、専有部分のリフォーム、共有部分への私物の放置)、建物の不具合、管理会社等、近隣関係、管理組合の運営、費用負担、管理規約などさまざまです。

また、管理費等の滞納がない管理組合の割合は、5年前の56.1%から62.7%へと減少していますが、まだ4割弱の管理組合において、滞納問題が発生している状況です。

誠「む・む・む・・・。マンションは増加、老朽化してて、マンション世帯主の高齢化も進んでいて、将来のマンション管理に不安なことが山積している上に、現在でも、8割弱のマンションがトラブルを抱えているなんて、今後ものすごく大変そうだ・・・。」

ライスタ博士「ふむ。こういう問題が将来増加していくことが見込まれたからという背景から、2001年に生まれた比較的新しい国家資格が、マンション管理士、管理業務主任者の資格じゃ。現在、そのとおりになってきてしまっておる。マンション管理士や管理業務主任者の活躍によるマンション管理の適正化が益々期待されるのう。」

誠「そうか!問題が山積ということは、マンション管理士や管理業務主任者の行っている仕事に関する需要があるということだもんね!」

ライスタ博士「ふむ。こういった問題点に対して、問題を細分化して、自分がどう取り組んで、どう解決していくか、ということをきちんと提示することができれば、仕事の獲得・実績へと繋げられるんじゃなかろうか。」

マンション管理アドバイザー制度におけるマンション管理士活躍の期待

東京都都市整備局では、「マンション管理アドバイザー制度」「マンション建替え・改修アドバイザー制度」を実施しています。マンション管理士や建築士といった専門家が管理組合等に直接訪問して、テキストを使いながらマンション管理に関する基本的な事項について有料講座を行ったり、有料相談を受けるといった活動をしています。

多くの問題をかかえているマンション管理の適正化のために、マンション管理士による活躍が期待されます。

誠「へえ、こんな制度もあるんだね!こうやって、どんどんマンション管理士の活躍の場が増えて、みんなが安心して快適に住めるような日本になるといいなあ。」

マンション管理士の資格取得のメリットは?

誠「最後に、もう1つ。マンション管理士は直接仕事に活かす以外にも、メリットとかってある?」

ライスタ博士「ふむ。ではマンション管理士の資格取得メリットについてみていこうかのう。」

(1)マンション管理に関する知識が身につく

実際に、自分がマンションを購入したことや、管理組合の理事になったことにより、マンション管理の知識に、興味と必要性を感じ、マンション管理士の勉強を始める方は多いようです。
まず、単にマンション管理に関する本を読むより、マンション管理士の資格取得を目指して勉強をすることで、モチベーションがあがります。
さらに、資格取得をするにあたっては、体系的な幅広くかつ深い知識が必要となりますので、結果として、マンション管理についてより深く、理解できるようになり、トラブルの予防策・解決策が見えてくるようになることが期待できます。

マンション管理士で得た広く、深いマンション管理に関する知識は、自分のマンションを守ることになり、またマンション管理で困っている周りの親戚、友人や同僚への手助けもできるでしょう。
自分の知識が自分だけでなく、周りの人に少しでも役に立ち、感謝されることは、とてもうれしく、生きがいにもなるのではないでしょうか。

(2)宅建と試験の関連性が高い

宅建の資格を取得したことをきっかけに、マンション管理士、管理業務主任者の受験をする方も多いようです。マンション管理センターのアンケートをみると、マンション管理士以外に取得している資格は、管理業務主任者(85.2%)、宅建(77.8%)が圧倒的に高い割合となっています。

不動産取引の専門家の資格である宅建。同じく不動産の資格であるマンション管理士・管理業務主任者は、試験科目が宅建と多くの部分で重なっており、大きなアドバンテージです。

ライスタ博士「誠は、宅建をもっているから、試験勉強はかなり有利じゃよ!」

誠「やった!かなり前に宅建とったから、正直けっこう忘れちゃっている部分があるかもしれないけど、勉強も楽しかったし、有利になるってきいて、俄然やる気になってきたぞ!トリプルライセンス目指して頑張るぞ!!」

(3)マンション管理士合格者の年齢層が高い

平成30年(2018年)のマンション管理士試験の合格者の平均年齢は46.5歳で、最高年齢は77歳です。
マンション管理士は合格者の平均年齢が高いのが特徴的です。

内訳の割合をみると、40~49歳が27.9%と最も多く、50~59歳が24.6%、30~39歳が22.4%と続きます。60歳以上も16.4%もおり、全体の合格者のうち50歳以上が約4割と、年配の方の合格者が非常に高いのがわかります。

ライスタ博士「先にいったように、マンション管理士自体がトラブルを解決するマンション管理のコンサルタント職じゃから、人生経験豊富な年配の方にも向いている資格じゃ。人生100年時代と言われる今、生きがいをもって、定年後も生きていきたいと思っている年配の方も多いのではないかのう?マンション管理士に興味があるなら『今さら勉強なんて・・・』と思わず、『まだまだこれから!』と是非頑張ってほしい。周りにいっぱい同年代の受験仲間がおるからのう。」

誠「うん。いくつになっても勉強するなんて、ぶっちゃけ、かっこいいよなー。」

ライスタ博士「ふぉふぉふぉ。わしも負けておれんのう。さて、実際のマンション管理士から聞いた、マンション管理士資格を取得した理由からも、メリットが見えてきそうじゃよ。」

マンション管理士資格を取得した理由

公益財団法人マンション管理センターによる平成30年の「マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果の概要」をみると、マンション管理資格を取得した理由として、多い順に
・現在又は将来の仕事に活かすため(65.8%)
・自己研鑽のため(50.1%)
・居住するマンションの役員等の職務に活かすため(20.8%)
・マンション管理士として就業するため(19.2%)
となっています。

誠「直接の仕事以外だと『自己研鑽のため』『居住するマンションの役員等の職務に活かすため』という動機が多いのかあ。」

ライスタ博士「ふむ。自己研磨は一生じゃのう!では、最後に、LECに応募してくれたマンション管理士を目指した理由の紹介しようかのう。みんなの熱意が伝わって、きっと、誠のモチベーションもあがるはずじゃ。」

★資格受験生の声~マンション管理士・管理業務主任者の資格取得を目指す理由~★

宅建の知識にプラスして(30代男性)
私は未経験ながら不動産業界で働きたいと思い、宅建の勉強を始めました。宅建の勉強をしていく内に東京、大阪など都市部で住むとなると今後も主流はマンションだと、そしてマンションを購入するのに一体どれだけの人が区分所有法等を知っているのか??宅建の知識にプラスしてマンションの事も分かっていればそれは必ず役に立つし、自分で将来マンションを購入して住むとなった時も必ず役に立つと感じ宅建、マンション管理士、管理業務主任者を受験しました。残念ながら宅建以外は不合格でしたが、必ずリベンジしたいと思います!!

誠「俺も宅建プラスで知識・視野を広げたい!」

自分の人生をステップアップさせたい(30代女性)
私は結婚前に空いた時間で父の勧めで宅建を取得しました。その後利用する機会はなく今に至ります。
今回、管理業務主任者を受験したのは、マンションを購入し住み総会に参加したりするなかでこの仕事に興味を持ちました。
結果は残念ながら不合格でしたが、勉強したことで多数の法律によってマンション管理が成り立って要ること、修繕や施工に関する知識も必要であることを学びました。
勉強をする最中、台風にいる停電や経年劣化や今後のメンテナンスをかんがえてのLED照明への交換の提案、部外者によるマンション設備破損への対応など設備の保全、維持そして警備に至るまでマンション住民として非常に重要な業務であることを痛感しました。
又、総会や個人的やり取りをするなかで、今お世話になっているマンションの管理会社で働いてみたいと思ってます。
子供も手を離れた今、しっかりと自分をアピールするためにも、今年は更にしっかりと勉強し必ず合格、自分の人生をステップアップさせたいです。
よろしくお願いいたします。

誠「あ、俺と同じ宅建の資格保有してるんだ!僕もマンション管理士・管理業務主任者の資格を取得して、ステップアップしていきたいなあ。」

管理組合の理事長に推薦されて(50代男性)
私がマンションを購入したのが10年前です。最初は購入したのだから何にもしなくてよいと思っておりました。すると共用部は組合管理になります。よって区分所有者でありながら、組合員ですとほとんど何もわからないまま時が過ぎました。しかし順番で私が理事長に推薦され、頑張りましたが、管理会社の担当者が私の言う思いに応えてくれませんでした。その時私も資格をもって対応すると決意し、昨年広島大学まで試験を受けに行きました。少し自信がありましたが、通知書を見てがっくり。しかし再度挑戦します。かならず今年の試験に合格します。そのために力を貸してください。がんばります!決意表明でした。

ライスタ博士「居住するマンションの役員などになったことから資格取得をしたというのは、多い理由の一つで、先に紹介したアンケート回答でも約2割もおったのう。」

自分への挑戦(50代男性)
不動産業界に従事してた頃の約10年前に、宅建合格後に転職し同試験合格目指しましたが、途中で挫折し合格できませんでした。その後、時ばかりが平々凡々と流れあっという間に50代になった現在。
40代の自分は何をしてきたのか?何も足跡にないままに10年が過ぎ、改めて自分に何が出来るのか?を考えた時に自分自身へのリベンジ及び年齢的にもまだできる・やれる自己確認と老いへの挑戦でもあります。
また、昨今は企業の先行きも不安定な社会状況の中、マン管管業の資格習得により少しでもスムーズに転職できる備えとしても挑戦します。

ライスタ博士「自分への挑戦とは素晴らしい。資格取得やそこで得た知識は、どこかで役に立つ場面がくるもんじゃ。変化の激しい現代、資格に限ったことではなく、どんな分野でも自分の視野も広がる勉強は、一生必要じゃと思うのう。」

定年後も働き続けたい(50代男性)
私は今、東京に住んでいます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどによる発展。また、大都市への人口の集中化など顕著になり、これからますすまマンションの需要は増えていくのではないかと考えています。
定年後の就活に資格取得を考えました。そんな中で定年後も働き続けたいと考えたとき、管理業務主任者・マンション管理士資格取得を思いつきました。
私は今商社に勤めています。日々、いろんな人との会話をするコミュニケーション力、語学力、企画力、営業力など必要としていますが、永年培ったそんな力も管業やマン管で発揮したいと考えています。また、資格取得による就活時のアドバンテージや、収入へのプラス効果になればとも期待しています。

※上記の各内容は、応募された内容より一部抜粋・編集して掲載しています。

誠「なるほど、みんな頑張ってるんだ!みんなの資格取得を目指す理由を聞いたら、すごくモチベーションがあがったよ!俺も、みんなと一緒に、管理業務主任者とマンション管理士の資格取得を目指すぞ!!」

まとめ

さて、「マンション管理士の仕事」「マンション管理士とマンション管理人との違い」「マンション管理士と管理業務主任者の違い」「就職・転職・独立開業」「年収」「将来性とメリット」など、一緒に幅広く見てきました。マンション管理士・管理業務主任者の仕事について、イメージがつかめましたか?

日本において、総人口の1割以上が居住するマンションは、増え続けており、問題が山積しています。一人でも多くのマンション管理士・管理業務主任者が活躍によることにより、マンション管理の適正化が進むことが期待されます。

あなたも、LECで頑張る受講生、合格へ導く講師と一緒に、マンション管理士・管理業務主任者の資格取得を目指して、日本のマンション管理の適正化に向けて、一緒に頑張ってみませんか?

多数のウェブサイト記事がある中、最後までお読みいただきありがとうございました。


ライスタ博士ライスタ博士:年齢不詳。資格取得に悩める人達を救うべく、日々資格情報を提供し各種相談を受けている資格博士。なぜか質問者がため口になってしまうほど親しみやすい。

誠誠:34歳。大学生の時に資格が欲しくて宅建を取得したものの、全く異なるIT業界に就職し、営業職をしている。流れの早い業界、今後を考えると不安となり、不動産関連のマンション管理に興味をもつ。

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