【不動産鑑定士】弁護士・公認会計士と並ぶ三大国家資格のひとつで、全国にわずか8,000人しかいない希少価値のある資格です。業務の対象となる「不動産」は、公的評価や鑑定評価などのように景気の影響を直接受けないため、景気に左右されない安定した職業です。独立開業はもちろん、企業内不動産鑑定士として専門能力を発揮することもできる、不動産系資格の最高峰です。近年高まる需要と自由なライフデザインを描ける不動産のエキスパートとして、ますます注目されています。
難易度
(非常に難しい)
試験は短答式・論文式の2段階選抜方式で実施されます。
短答式試験合格者は翌年、翌々年の2年間、短答式試験が免除されるため計画的に受験できることや、論文式試験の科目免除制度を活用すれば、比較的目指しやすい資格です。
2018年度不動産鑑定士短答式試験の合格率は33.4%※と3人に1人が合格できる試験ですが、2018年度不動産鑑定士論文式試験の合格率は14.8%※と7人に1人しか合格できない、データからみても難関の国家資格です。しかしながら、論文式試験では、受験者数が3年連続で、合格者数が4年連続で増加傾向にあるなど、受験生にとって好機となっています。
また、近年の需要拡大を受け、学生など若年層や不動産分野での職務経験のない方にもチャレンジしてもらい短期合格ができるように、2016年度より試験問題の見直しが行われています。[平成27年6月26日 国土交通省「不動産鑑定士試験 規定等/不動産鑑定士試験実施の改善について」より] 知識量よりも基礎を重視した試験問題となっていることから、誰にでも目指しやすい試験です。
※短答式試験:申込者数2,273人、受験者数1,751人、合格者数584人(男性484名、女性100名、平均年齢38.3歳)より算出。[国土交通省「平成30年不動産鑑定士試験短答式試験合格者の発表(別紙2、3)」より]
※論文式試験:申込者数1,268人、受験者数789人、合格者数117人(男性107名、女性10名、平均年齢35.8歳)より算出。[国土交通省「平成30年不動産鑑定士試験論文式試験合格者の発表(別紙2、3)」より]
受験資格
短答式試験:年齢、性別、学歴等に関係なく、誰でも受験できます。
論文式試験:短答式試験の合格者
試験科目・内容
<短答式試験>
試験科目:不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論
・不動産に関する行政法規 10:00~12:00(択一式40問/2時間/配点100点)
・不動産の鑑定評価に関する理論 13:30~15:30(択一式40問/2時間/配点100点)
試験形式:択一式(マークシート方式)
<論文式試験>
試験科目:民法、会計学、経済学、不動産の鑑定評価に関する理論
・民法、会計学、経済学(大問2問/2時間/配点100点)
・不動産の鑑定評価に関する理論(大問4問/4時間/配点100点・演習1問/2時間/配点100点)
[1日目]
民法 10:00~12:00
経済学 13:30~15:30
[2日目]
会計学 10:00~12:00
不動産の鑑定評価に関する理論(論文) 13:30~15:30
[3日目]
不動産の鑑定評価に関する理論(論文) 10:00~12:00
不動産の鑑定評価に関する理論(演習) 13:30~15:30
試験形式:論文式(演習による出題を含む)
試験対策について
試験は短答式・論文式の2段階選抜方式で実施されますが、短答式試験合格者は2年間短答式試験が免除されるため、社会人でも限られた時間で戦略的に合格を目指すことができます。問われる能力が多岐に渡るからこそ、各試験の特性や傾向をしっかり押さえて、最適な対策を立てることが必要不可欠です。
短答式試験は総合点で概ね7割が合格基準となり、論文式試験は総合点で概ね6割が合格基準となります。短答式試験合格に必要な学習時間は講義を含めておよそ500時間、論文式試験は講義を含めておよそ2,000時間が目安となります(両試験合わせて合計2,000~2,500時間。) 特に難関試験となる論文式試験では、得意科目は不要です。合格するには計4科目をまんべんなくできることが求められており、苦手科目をつくらないことが合格の秘訣です。
また、近年高まる需要拡大を受け、2016年度より試験問題の見直しが行われています。[平成27年6月26日 国土交通省「不動産鑑定士試験 規定等/不動産鑑定士試験実施の改善について」より] これに伴い、知識量よりも基礎を重視した試験問題となっており、しっかりとした基礎固めを行うことが必要不可欠です。
さらに、国土交通省土地鑑定委員会が不動産鑑定士試験の受験者が必要な情報をすぐに入手できるよう「答案用紙の公開」「試験結果通知内容の充実」「SNSを活用した情報発信」を発表しました。これらもうまく活用して効率よく効果的に合格を目指しましょう。[国土交通省「不動産鑑定士試験の試験関連情報の公開・発信を強化します」より]
不動産鑑定士試験スケジュール
願書出願:例年2月中旬から3月上旬頃
※論文式試験について別途の申し込みは不要
短答式試験:5月中旬の日曜日
短答式試験合格発表:例年6月下旬頃
論文式試験:7月下旬~8月上旬の日曜日を含む土・日・月の連続する3日間
論文式試験合格発表:例年10月中旬頃
※論文式試験合格者は「実務修習」を受けた後、不動産鑑定士として登録ができます。
※不動産鑑定士登録までは最短で2年です。
不動産鑑定士試験 実務修習の詳細をみる(LECサイト)≫
国土交通省 不動産鑑定士試験ページ≫
どんな人が合格しているの?
平成30年度の各試験別合格者は以下のとおりです。
両試験ともに、平均年齢30代後半と、他の資格試験に比べて年齢層がやや高めなのが特徴です。
転職や年収アップを見据えて合格を目指す社会人が多いということが言えます。
また近年、国土交通省が学生等の若年層に対して、試験問題の見直しを図るなど積極的な働きかけを行っています。[平成27年6月26日 国土交通省「不動産鑑定士試験 規定等/不動産鑑定士試験実施の改善について」より] 両試験ともに最年少合格年齢は19歳ですが、合格年齢が高めの試験だからこそ「在学中合格のインパクト」は非常に大きいです。
<短答式試験>
年齢
平均38.3歳
最高齢78歳
最年少19歳
年齢別合格者数
30歳未満:25%
30歳以上35歳未満:18%
35歳以上40歳未満:16%
40歳以上45歳未満:13%
45歳以上50歳未満:10%
50歳以上55歳未満:7%
55歳以上60歳未満:6%
60歳以上:5%
<論文式試験>
年齢
平均35.8歳
最高齢68歳
最年少19歳
年齢別合格者数
30歳未満:32%
30歳以上35歳未満:22%
35歳以上40歳未満:15%
40歳以上45歳未満:10%
45歳以上50歳未満:9%
50歳以上55歳未満:3%
55歳以上60歳未満:4%
60歳以上:3%
※上記内容は、情報を保証するものではございません。日程が変更される場合もございますので、必ずご自身で各実施団体のホームページなどでご確認ください。