「やっぱり仕事がしたい!」
最近キャリアコンサルタントに興味をもちはじめた、主婦の美咲さん(32歳)。キャリアコンサルタントの資格と仕事について、ライスタ博士がわかりやすく教えてくれます。
(美咲さん)「ライスタ博士、こんにちは。結婚、出産をきっかけに、仕事をやめちゃったんだけど、やっぱり仕事がしたいなあ、とずっと思ってて・・・。」
(ライスタ博士)「ふむ。特に女性は、結婚・出産で、人生設計が大きく変わるからのう。で、何か気になる仕事や資格はあるのかのう?」
「うん。前にやってた事務職とかじゃなくて、もっと直接人の役に立てる、長くできる仕事がしたい。で、気になっているのが、キャリアカウンセラーの仕事なんだ。キャリアコンサルタントという資格があると聞いたんだけど・・・。」
1.キャリアコンサルタントとは?その仕事と資格の魅力
「ふむ。では、まずはキャリアコンサルタントの仕事について、見ていこうかのう。とてもイメージしやすい仕事とは思うんじゃが。」
「うん。仕事を探している人に『こういう仕事はどう?』と紹介する仕事だよね?私は人と接するのが好きだし、説明も得意な方かな?」
「ふむ。美咲のように人が好きだからという理由で、キャリアコンサルタントになりたいと考える人は多いようじゃ。じゃが、キャリアコンサルタントの仕事をするにあたっては、まず、おさえておいてほしい点があるんじゃよ。」
キャリアコンサルタントの仕事
キャリアコンサルタントの仕事は、相談にきた方の職業選択やキャリア形成、職業能力開発の相談を受けて、助言・指導をすること。
キャリアコンサルタントは、他の職業に比べて、人との関わりが非常に強い仕事のため、「人と接するのが好きだから・・・。」という理由から目指すという方が多いようです。もちろん、その想いは重要で必要です。ただ、キャリアコンサルタントの仕事は、自分が話をするのではなく、まず、相談者の話をきちんと聞くことが基本。キャリアコンサルティングは、すべてここから始まります。
相談にくる人は、
「自分のやりたいことが全く見つからない・・・。」
「今の事務の仕事に行きづまってしまっている・・・。」
「失業してしまった。自分にあった仕事を早く見つけないと・・・。」
「今までやってきた営業とは全く違う職種に挑戦してみたい!」
などさまざま。でも、みんな、仕事に関する悩みをかかえている、ということは共通しています。
人にはそれぞれ違う価値観があります。その価値観を受け入れて、相談者との信頼関係を築くこと、それがキャリアコンサルタントにとって、非常に重要です。
具体的には、まず、相談者の話を興味をもって、熱心に聞くことから。
相談者自身が、気づき、自らの考えを整理できるよう、キャリアコンサルタントが質問を通して、導いていきます。
相談者が主体性をもって、職業、キャリア形成、職業訓練などついて、決めることができるように支援していく、これがキャリアコンサルタントの仕事です。
キャリアコンサルタントが必要とされる背景(LECウェブサイト)≫
「そうなんだ・・・。全然深く考えたこともなくて、少し恥ずかしい。・・・でも、キャリアコンサルタントの仕事は、もちろん大変だと思うんだけど、やっぱり人の役に立って、やりがいのある、とても魅力のある仕事だと思うな・・・。」
「ふむ、わしも、とても魅力的な仕事だと思うぞ。さらに、今、キャリアコンサルタントは、国が力を入れている資格じゃ。資格取得に追い風がきておるんじゃよ。」
「え!?追い風がきてるって、いったい何??」
キャリアコンサルタントは国家資格へ
キャリアコンサルタントは、 2016年に国家資格(名称独占資格)となりました。
企業を取り巻く環境が著しく変化していく中、雇用形態は多様化しています。年功序列賃金や終身雇用は、既に過去のものとなりつつあります。
転職が当然となった現代においては、労働者は自ら主体性をもって、意識してキャリア(仕事を通しての経験・スキル、経歴、生き方・働き方など)を考え、主体的にキャリア形成をしていく必要があります。
こうした時代の流れの中で、キャリアコンサルティングが重要視され、国家資格化されました。
「へえ、国が認める資格なんだ!国家資格って、なんだかかっこいいね。安心するし。ますます取得したくなってきちゃった。」
厚生労働省のキャリアコンサルタント10万人養成計画
国家資格化とともに、厚生労働省は、平成25年度末で約4万5千人のキャリアコンサルタントの養成数※を、平成27年度から平成31年度末までの5年間を集中養成期間とし7万9千人へ、平成36年度末までには10万人とする数値目標をあげています。現在、国が力を入れている、注目の国家資格といえるでしょう。
※標準レベルのキャリア・コンサルタントおよびキャリア・コンサルティング技能士を計上。
受講料の50%+20%が国から支給
中長期的なキャリア形成のため、就業できる可能性が高く、長く生かせる能力の習得を目的とした制度が、「専門実践教育訓練制度」です。キャリアコンサルタント講座は、この対象講座になっています(指定された講座のみ)。
要件を満たすことで、受講料の50%+20%が国から支給されます。
(1)雇用保険の一般被保険者期間3年以上(※)の対象者が、指定講座を受講し修了
→支払った教育訓練経費の50%が支給されます。
(※)初めて教育訓練給付の支給を受ける方は、2年以上で対象
(2)受講修了後1年以内に目標となるキャリアコンサルタント試験に合格し、一般被保険者として雇用された場合、または既に雇用されている場合
→さらに、20%が追加支給されます。
「え!?スゴい!そんなに支給されるんだ!本当に追い風の資格なんだね。私も、今のうちに早くとらなくちゃ!」
※支給には詳細の条件があります。下記のサイトをご確認ください。
教育訓練給付制度(専門実践)の概要について(LECウェブサイト)≫
キャリアコンサルタントが必要とされる背景(LECウェブサイト)≫
2.キャリアコンサルタントの活躍の場と転職・就職
「キャリアコンサルタントって、どんなところで働くのかな?」
「ふむ。では一緒にみていこうかのう。」
企業・団体内におけるキャリアコンサルタント活躍の場
キャリアコンサルタントと関連性の高い、主な活躍の場をご紹介します。
大学のキャリアセンター
その大学の学生に対して、単なる就職活動のやり方だけでなく、キャリアコンサルティングを行います。「どのようなことを大切にしたいのか」という価値観から、「今後どうしていきたいのか」という将来のキャリアプランまで、主体性を持たせて考えさせるよう導き、就職を支援していきます。
人生で初めてとなる就職に対して、大きな悩みや不安をもっている大学生が、自ら自分の考えを整理し、新社会人として進むべき道を決められるよう、キャリアコンサルタントがサポートをします。
ハローワーク・ジョブカフェ
ハローワーク(公共職業安定所)は、国が運営する職業紹介所です。やりがいのある仕事をみつけ、就職・転職できるよう、カウンセリングを行って、自己分析のサポート、職業訓練の紹介、履歴書の書き方や面接対策などについても行います。
ジョブカフェは、若者が自分にあった仕事が見つけられるよう、就職支援をワンストップで行う施設です。都道府県が設置・運営しており、就業セミナー、カウンセリング、職業紹介など、若者向けにさまざまなサービスを行っています。
「うん、これはなんとなくイメージしやすいな。他は、一般の民間企業でも活用できるの?」
「ふむ。民間企業の業種でいうと、人材紹介会社や人材派遣会社といった、人材ビジネスの会社じゃ。」
人材紹介会社・人材派遣会社
人材紹介会社では、企業と求職者をつなぐこと(マッチング業務)が、主な仕事となってきます。
求人企業に対しては、新規開拓の営業、求人内容の取材や人材候補者の提案をします。また、求人者に対しては、面談を通して求人紹介をし、転職先が決まるまで、アドバイス・フォローをしていきます。
面談では、今までの経験や転職先の希望について、カウンセリングを行います。また、カウンセリングを行うにあたっては、最新の職業に関する知識やキャリア形成に関する知識が必須。そのため、日々勉強し、情報収集をしていくことが必要です。
なお、人材派遣会社の仕事は、派遣スタッフ希望の方に、派遣先企業の仕事を紹介することです。面談を通して本人の希望を聞きながら、派遣スタッフ希望者と派遣先企業とのマッチングをします。
単なるマッチングだけでなく、必要な教育・研修をしたり、相談に乗りながら、その方が希望するキャリアプランやスキルの向上が期待できる、やりがいをもって働ける派遣先企業を紹介していきます。
「他には、業種は関係なく各企業の人事部にて、企業内キャリアコンサルタントとして活躍している人が、多くおるんじゃ。」
企業の人事部
キャリアコンサルタントのスキルを活かし、社員に対して「どのような仕事をしたいのか」「どのようなキャリアプランをつくっていきたいのか」などを一緒に考え、支援し、適材適所への配置・転換をしたり、現場への改善指示・教育をします。それらを通して社員のモチベーションアップやスキルアップといった人材育成を図り、会社全体の成長へとつなげていきます。
キャリアコンサルタントへの転職、就職
キャリアコンサルタントは、名称独占資格であり、税理士、社労士、宅建のような独占業務はありません。キャリアコンサルティング自体は資格がなくても行えますし、転職となると、やはり実務経験を求められることが多くなります。
しかしながら、キャリアコンサルタントの資格試験は、単なる筆記試験ではありません。未経験者が受験するには、厚生労働大臣認定の講習 合計140時間の受講が必要ですし、実技試験もあり、実務に直結する実践的な国家資格試験です。
キャリアコンサルタントとの関連性が強い仕事の場合、その仕事への熱意を、資格取得の理由とともにうまく伝えることで、未経験であっても、有利に働くことが見込めます。キャリアコンサルタントの資格をもっていることで、特に同レベルの書類選考では有利に働くでしょう。
なお、学生で在学中にキャリアコンサルタントの資格を取得すれば、「資格取得で学んだ知識や経験を通して、この仕事がしたい!」という熱意や、「企業内キャリアコンサルタントとしての立場から、こういう風に取り組みたい。こういうことが自分にはできる!」といった話が具体的にできます。
関連する業種・職種において、自己PRと志望動機の両面から、他の学生よりもかなり強くなるでしょう。
「面接で重要となってくるのは、その企業・団体の『求めていること(需要)』を意識し、それと重なる、自分の『できること(スキル)』と『やりたいこと(熱意)』をきちんと整理して、アピールしていくことじゃ。この3点が重なると思われる就職先を探し、面接で、今までの経験と、資格を取得した知識・経験を結びつけ、うまく根拠をつけてアピールできれば、自ずと道は開かれてくるはずじゃ。」
「そうか。なるほど~。ライスタ博士の話は、ためになるなあ・・・。」
その他、キャリアコンサルタントの働き方
正社員としての転職・就職だけでなく、パート・アルバイトなどをいくつか掛け持ちをして、フリーランスとして働く方法もあります。
フリーランスとしては、キャリアコンサルティングとは異なる仕事を掛け持ちをしたり、育児などの主婦業をしながらだったり、また講師をされている方もいるようです。また、キャリアコンサルタントに関連する業務で、起業をする方も。
「次のデータは、独立行政法人労働政策研究・研修機構による、国家資格キャリアコンサルタント登録者の、就労状況のデータじゃ。年齢とともに、働き方が、正社員から多様化しているのがわかるのう。」
「へえ、キャリアコンサルタントの方は、正社員としてだけでなくて、いろいろな働き方をしているんだね。私も子育てしながらの仕事になるし、いろんな働き方を視野にいれたいな。」
国家資格キャリアコンサルタント登録者の就労状況
国家資格キャリアコンサルタント登録者の年齢別就労状況
※独立行政法人労働政策研究・研修機構『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』の「図表2-8 現在の就労状況の年齢別・性別の特徴」データより作成(本表での「フリー・自営」は「キャリアコンサルタントとしてフリー・自営」を指す。上記以外で記載されてた項目について、本表では「その他」として作成)
キャリアコンサルタントの仕事をもっと詳しくみる(LECウェブサイト)≫
3.キャリアコンサルタントの年収
「いろいろ状況がみえてきたけど、やっぱり気になる、キャリアコンサルタントの年収ってどのくらいなのかな・・・?」
「ふむ。参考となるデータを一緒にみていこうかのう。」
国家資格キャリアコンサルタント登録者の全体の年収傾向
独立行政法人労働政策研究・研修機構による『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』をみると、国家資格キャリアコンサルタント登録者における年収で構成比は、高い順から「200~400万円未満(33.2%)」「400~600万円未満(21.5%)」「600~800万円未満(14.1%)」となっています。
また、この資料内に、民間給与実態統計調査との比較において『全体の傾向とおおむね変わらないと解釈すべきかと考えられる。』という旨の表記があります。
国税庁の平成29年分 民間給与実態統計調査をみると、全体の平均給与は432万円。
もちろん、年齢・働き方・経験などにより異なりますが、国家資格キャリアコンサルタント登録者の全体の年収として、一つの参考になる数字でしょう。
国家資格キャリアコンサルタント登録者の個人年収データ
※独立行政法人労働政策研究・研修機構による『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』の図表2-14 「最近1年間の税込み個人年収(単一回答)」のデータより作成
「年齢」「活動場所」「活動状況」による年収の違い
年齢別の年収について
同資料にて、年齢別の年収構成比をみると、年収は年齢とともに増加し、一般的に定年と言われる60代以降に、減少していく傾向がみられます。年収600万円以上の構成比は、50代38.8%→60代17.9%へと減少します。
年収200万円未満の構成比は、全体の15.7%と比較すると、60代18.8%、70代36.2%と年配の方の割合が高くなっています。
「キャリアコンサルタントは、年配の方が今までの経験を活かせる仕事じゃ。定年後の減少の要因は、フリーのキャリアコンサルタントとして、仕事と休暇の適度なバランスで働く、ボランティアとして働くなどといった、多様な働き方によるものが大きいと思われるのう。」
年齢別 年収の構成比
※独立行政法人労働政策研究・研修機構による『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』の図表2-16「 最近1年会の税込み個人年収の年齢別・性別の特徴」より作成
活動場所、活動状況による年収について
では、今度は活動場所、活動状況による年収について、一緒にみてきましょう。
まず、[(1)キャリアコンサルティングに関連する活動をしている主な場所]をみると、『企業』と回答した方が、34.2%と最多の状況です。次に需給調整機関(派遣、ハローワーク、転職・再就職支援)が、20.2%と続きます。
「へえ。『企業』で活動している人って、多いんだね。」
(1)キャリアコンサルティングに関連する活動をしている主な場所
※学校・教育機関:キャリア教育、キャリアセンター/需給調整機関:派遣、ハローワーク、転職・再就職支援/地域:地域若者サポートステーション、女性センター等
※独立行政法人労働政策研究・研修機構による『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』の図表2-5 「現在の主な活動の場の年齢別・性別の特徴」のデータより 作成
つづいて、[(2)主な活動場所による年収]をみると、『企業』と回答した方では「800万円以上(28.2%)」が最も多い状況。
『企業』の方の年収は、400万円以上の構成比を合計すると、76.3%。対して、全体では51.1%です。
なお、『需給調整機関(派遣、ハローワーク、転職・再就職支援)』『地域(地域若者サポートステーション、女性センター等)』『学校・教育機関(キャリア教育・キャリアセンター)』の年収は、「200~400万円未満」が最多。構成比は順に、それぞれ、56.7%、52.7%、30.7%でした。
「なるほど。『企業』でキャリアコンサルティングの活動している人は、年収が高い傾向にあるんだね!」
(2)主な活動場所による年収
※学校・教育機関:キャリア教育、キャリアセンター/需給調整機関:派遣、ハローワーク、転職・再就職支援/地域:地域若者サポートステーション、女性センター等
※独立行政法人労働政策研究・研修機構による『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』の図表2-17 「最近1年間の税込み個人年収の現在の主な活動の場別の特徴」のデータよりより 作成
また、[(3)主な活動場所における活動頻度]をみると、『需給調整機関(派遣、ハローワーク、転職・再就職支援)』は、キャリアコンサルティングに関連する活動について、「ほぼ毎日活動している」が66.0%と最多。
『学校・教育機関(キャリア教育・キャリアセンター)』『地域(地域若者サポートステーション、女性センター等)』では、キャリアコンサルティングに関連する活動について、「ほぼ毎日活動している」がそれぞれ、43.0%、45.0%であり、『企業』の17.1%と比較しても、どれもかなり高い状況です。
「うーん、予想通り。やっぱり企業だと、キャリアコンサルティングの関連業務自体は減っちゃう傾向かあ。キャリアコンサルティングの業務を多くやっていきたいなら、やっぱり、直接業務と関連する、需給調整機関、学校・教育機関、地域(地域若者サポートステーション、女性センター等)なんだね!」
(3)主な活動場所における活動頻度
※学校・教育機関:キャリア教育、キャリアセンター/需給調整機関:派遣、ハローワーク、転職・再就職支援/地域:地域若者サポートステーション、女性センター等
※独立行政法人労働政策研究・研修機構による『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』の図表2-21 「キャリアコンサルティングに関連する活動」の現在の主な活動の場別の特徴のデータより作成
最後に、[(4)キャリアコンサルティングの活動状況による年収]をみると、『ほぼ毎日キャリアコンサルティングに関する活動をしている』、と回答した方の年収は、200~400万円未満が最多の51.4%でした。
「もちろん収入は、仕事選びの重要な要素じゃ。じゃが、単に年収にとらわれるのではなく、自分がそもそも、キャリアコンサルタントの資格をどういう風に活かしたいのか、どういう仕事を中心としていきたいのか、という点をきちんと考えて、仕事を選ぶことが必要じゃのう。」
(4)キャリアコンサルティングの活動状況による年収
※独立行政法人労働政策研究・研修機構による『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』の図表2-22 「キャリアコンサルティングに関連する活動」別の最近1年間の税込み年収のデータより作成
働き方による年収の違い
正社員として勤める場合にはその企業、団体によるものの一般のサラリーマンと同レベルになることが多いようです。一般的に勤続年数が多くなれば、年収は高くなります。また、大手の人材紹介会社や人材派遣会社、大手の一般企業の人事部となれば、年収は高くなる傾向があります。
フリーランスとしては、高額な収入を期待できないことが多いようです。求人情報を検索してみると、一般的な就労支援などでは、時給で1200~1500円前後での掲載がありました。
起業となると、キャリアコンサルタントは名称独占資格であり、税理士や社労士のように独占業務もなく、その人の実力や業務範囲が異なるため一概にはいえません。講演会や資格スクールの講師、執筆活動の仕事をしている方もいます。
就労状況別の年収
※独立行政法人労働政策研究・研修機構による『キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2018年)』の「図表2-18 最近1年間の税込み個人年収の現在の就労状況別の特徴」より作成 (本表での「フリー・自営」は「キャリアコンサルタントとしてフリー・自営」を指す。)
「現在、個人がお金をはらって自らキャリアコンサルティングを受ける、という習慣が一般的でない状況もあり、単に有資格者であるというだけでは、全員が独立し、キャリアコンサルティングだけで十分に稼ぐことができる状況ではないといえるのう。」
「あ、確かに・・・。私自身も、自分でお金払ってキャリアコンサルティングを受ける、という発想自体がなかったかも・・・。」
「ふむ。じゃが、国家資格化されたことによって、今後キャリアコンサルティングの重要性が、もっと社会的に意識され、時代が変化していくことが期待されるのう。」
「うん。キャリアコンサルタントの仕事は、相談者の人生に大きく関わることのできる、やりがい、魅力がある仕事だもんね!私は、私と同じように結婚・出産で、今後の仕事について悩んでいる人の役に立ちたいな!」
キャリアコンサルタントについてもっと詳しく知ろう(LECウェブサイト)≫
4.キャリアコンサルタントの資格取得で成長できる!?自分が変わる?
「キャリアコンサルタントに向いている人って、どんな人なのかな?」
「ふむ。一緒に見ていこうかのう。」
キャリアコンサルタントに向いている人は?
人の役に立ちたいという気持ちが強い人
どんな仕事にも最も重要なのは、その仕事に対する熱意です。キャリアコンサルタントは、カウンセリングの仕事なので、特に「人の悩みを解決する手助けがしたい!」「少しでも人の役に立ちたい!」という強い気持ちがある人が向いている、というよりは、必要です。キャリアコンサルタントになりたいと思った方は、みなさん、この気持ちは十分あるのではないでしょうか。
聞き上手の人
冒頭で述べているように、相手の話を熱心に聴くことが、キャリアコンサルタントの仕事の基本です。ですから、自分のことをよくしゃべる、とにかくおしゃべりが好きという方ではなく、興味をもって、相手の話をじっくり聞くことが好きな、いわゆる聞き上手の方が向いています。
さまざまな価値観を受け入れることができる人、人に興味がある人
上記の聞き上手ということは、その人に興味をもって、さまざまな価値観を受け入れることができる、という懐の深さにつながっています。このさまざまな価値観を受け入れることができることも、キャリアコンサルティングに必要です。
普段の生活でも、自分と似たような人とばかり接しているのではなく、さまざまな環境や年齢、職業の人の話に興味がある人、いろいろな人に興味がある人は、キャリアコンサルタントに向いているといえるでしょう。
勉強熱心な人
キャリアコンサルティングに完璧な正解はありません。毎回のキャリアコンサルティングの後に、「果たして、これでよかったのか・・・。」と思い悩むことが多々あるでしょう。それを踏まえて、次回のキャリアコンサルティングをより良いものにしていこうとする姿勢が必要です。こういう点で自ら勉強したり、調べたりするのが好きな、勉強熱心で向上心が強い人に向いています。
人生経験が豊富な人
キャリアコンサルティングは、悩みを解決することをサポートする仕事なので、さまざまなことに悩んできた人生経験、社会人経験が役に立つ仕事です。そういう面から、経験豊富な年配の方にも向いている仕事といえます。
「仕事はまず何より熱意じゃ。向き不向きよりも、何をしたいかが一番重要じゃぞ。」
「うん。私も人の役に立てる仕事がしたい!という気持ちは強いな。あと、何かキャリアコンサルタントの資格取得で得られるものってあるのかな?」
「ふむ。キャリアコンサルタントの資格は、その資格取得をする学習過程で、自分が非常に成長できる資格なんじゃよ。」
国家資格キャリアコンサルタント取得のメリット
キャリアコンサルタントの学習過程では、例えば、パーソナルスペース(他人に近付かれると不快に感じる空間)、ペース合わせ、表情合わせ、うなづき、あいづち、繰り返しなどといったカウンセリングスキル(技法)を身につけることができます。
ただ、こういったスキル以上に重要なのは、相手に関心をもって、丁寧に真心を込めて話を聴く積極的傾聴です。これは、相談者と信頼関係を構築するために最も重要なことです。
学習過程では、単なる知識としてだけでなく、ロールプレイング(実際にキャリアコンサルタント役となってキャリアコンサルティングをすること)をとおして学んでいきます。
部下とのコミュニケーション
キャリアコンサルタントの学習・実習過程で得られる、この積極的傾聴やスキルは、汎用性が高く、日常の対人関係でも非常に役に立ちます。
特に部下を持つ管理職の方であれば、これらを意識して使うことで、部下との信頼関係を築き、円滑なコミュニケーションがとれるようになるでしょう。円滑なコミュニケーションが取れるようになると、部下が本音を話してくれるようになり、部署内の根本の問題が把握できるようになります。そして、それらを改善していけば、業務をより円滑に回していくことが可能となるでしょう。
また、キャリアコンサルタントの知識・実技講習の経験を活かした面談をしていくことで、部下が自らの課題に気づき、部下自らが積極的にスキルアップに取り組むようになる、といったことも期待できます。
それが結果として、部署全体のスキルアップへとつながり、部署目標が達成できるといった、副次的な効果も見込めるでしょう。
同じ目的を目指す仲間・人脈
また、スキルではありませんが、同じ教室で勉強を進めていく中で、同じ目的を目指すことによってできる、さまざまな職業・年齢の方との人脈は、今後の人生において、何より貴重な財産となるかもしれません。
キャリアコンサルタント特有の、人対人というカウンセラー資格だからこそ、さまざまな価値観、今後のキャリアプランや悩みについて話しやくすく、本当の仲間ができやすいのではないでしょうか。
「へえ。ますますキャリアコンサルタントの勉強をしたくなってきちゃった!私もたくさんの仲間をつくりたいな。」
★資格受験生の声~キャリアコンサルタントを目指す理由~★
「ではここで、LECのWeb奨学生試験に応募してくれた方の、『キャリアコンサルタントを目指す理由』を紹介しようかのう。」
「ママのキャリアをサポートしたい」(30代女性 会社員)
私がキャリアコンサルタントを目指す理由は、女性のキャリア、特にママのキャリアをサポートしたいからです。
4年前に、自分が出産をして復職したときに、子育てしながら働くことの大変さや歯痒さを実感しました。育児と仕事と家庭とのバランスを考えて、復職1年で転職しました。転職活動のときからママのキャリアを支援したい気持ちは多くあったものの、当時は人として魅力を感じた社長と働くこ とを優先して、ママのキャリア支援は断念。
二度目の育休明けで復職した今、3年前のママのキャリアを支援したい気持ちが強くなり、やるなら今だとキャリアコンサ ルタントの資格取得に挑戦します。
資格が取得できたら、さまざまなキャリアを受け入れて個人を尊重するコンサルタントとして経験を積み、ゆくゆくは働 くママをあらゆる働き方でサポートしていきたいです。また、将来的には働く女性のキャリアを支援する事業をつくりたいと考えています。
いくつになっても、働く環境を考えなくてはいけなくなっても学び続けて、人や社会に貢献していきたいです。
「あ、私と同じママだ。私も働く女性の役に立ちたいなあ・・・。」
「人の生き方を見つけるアシストをしたい」(20代男性 会社員)
人の生き方を見つけるアシストをしたい。
ライフスタイルの変化によって生き方が多様化した現在、可能性が広がったものの、自身のキャリアについて悩む人が多くいるように感じています。
私もそのうちの1人でした。このままでいいのか悩みました。見つけるまで時間がかかりました。見つけるまでに、本やネ ットを通して自己分析を重ねましたが、なかなか「これ!!」と思うところまでたどりつきませんでした。
しかし、たまたま友人と何気なく話していた時、話したこと・会話を通してふと出た言葉は、自身の「素直な気持ち」だと気が付くことができました。人と直接話したことでスッキリしました。
自身のスッキリした経験から、世の中で悩んでいる人たちを少しでも明るくしてあげたいと思い、キャリアコンサルタントを目指す決意をしました。キャリアコンサルタントは責任の重たい仕事である反面、とてもやりがいがあり、人にしかできない仕事だと感じていま す。
私は人が好きです。一人一人聞く姿勢を大切に向き合うことで、明るく生き生きとした生活ができるように、アシストをしていきたいです。
「うん。わかる、わかる。人に聞いてもらえるだけで、なんだかスッキリとして、自分の考えがまとまってくるんだよね・・・。」
「人生の転機に立たれた人の支えになりたい」(40代女性 主婦)
わたしは人生の転機に立たれた人の支えになれる人になりたいと思っています。
そう思ったきっかけは、私が結婚し出産し、再就職を考えた時に訪れたハローワークでとても親身になって一緒に寄り 添ってくれたキャリアコンサルタントの方との出会いです。いろいろな発想を持つことは、1人ではなかなか困難なことです。
その時、「一人ぼっちではないのだ」と思える心強さをひしひしと感じました。
「これからどうしたら良いのか」と迷っている人の心に寄り添い、話す言葉をしっかりと傾聴することはとても難しいこ とかもしれません。でもはじめの一歩を踏み出したいと思います。まず、わたし自身がキャリアコンサルタントになりたいという夢を叶えるために、きちんとしたスキルを身につけ学びます。そして夢に向かって前進して行きたいと思います。
「『うん、大丈夫!ひとりぼっちなんかじゃない!私が全力でサポートするよ!』って、私もいってあげたい・・・。なんだかみんなの熱い気持ちが伝わってきて、目頭が熱くなってきちゃったよ・・・(泣)。みんなには頑張って、絶対夢をかなえてほしいな。そして、私もみんなから、たくさんパワーをもらったよ!私も頑張るぞ!!」
キャリアコンサルタントについてもっと詳しく知ろう(LECウェブサイト)≫
5.キャリアコンサルタントになるには
「いろいろありがとう!ライスタ博士のおかげで、キャリアコンサルタントの仕事について、すごくイメージがつかめた。私、キャリアコンサルタントの資格を取ることに決めたよ!」
「おお、そうか。そういってもらえると、わしもうれしいのう。」
「で、まずは、テキストを買って勉強を始めればいいのかな??」
「ふむ。受験資格のない国家資格もあるんじゃが、キャリアコンサルタントは、実務経験などの受験資格があるのじゃ。」
「え!そうなの?未経験者はどうしたらいいの?」
「大丈夫じゃ。厚生労働大臣が認定する講習を修了すれば、受験資格を得られるのじゃ。」
キャリアコンサルタントになるまで
キャリアコンサルタントになるには、キャリアコンサルタントの国家資格に合格する必要があります。
国家資格には、行政書士や宅建など、受験資格がなく誰でも受験できるものがありますが、キャリアコンサルタントは3年以上の実務経験など、受験資格が必要です。
未経験の方がキャリアコンサルタント試験を受験するには、厚生労働大臣が認定する講習140時間を修了する必要があります。キャリアコンサルタントになるまでの流れは次のとおりです。
キャリアコンサルタントになるまでの流れ
1.厚生労働大臣が認定する講習課程140時間(通学80時間、通信60時間)の受講・修了
↓
2.キャリアコンサルタント国家試験(学科試験・実技試験)
↓
3.合格後、キャリアコンサルタント名簿への登録
※キャリアコンサルタントの登録を継続するには5年ごとの更新が必要です(知識を維持するための講習8時間以上、技能を維持するための講習30時間以上)。
「けっこう大変だなあ・・・。」と思いましたか?
ただ、キャリアコンサルタントの国家資格は、知識・実技スキルがあることの証明です。裏を返せばそれがあれば合格ができます。キャリアコンサルタントになりたいと熱意をもって、きちんと取り組めば、合格できる国家資格といってよいでしょう。
なお、キャリアコンサルタントには、コンサルティングの中で得た個人情報や相談内容についての守秘義務が課せられます。またキャリアコンサルタントは名称独占資格です。キャリアコンサルタントでない人が「キャリアコンサルタント」またはこれに紛らわしい名称を名乗ることはできません(違反した場合には30万円以下の罰金に処せられます)。
「うん。なるほどー。頑張ってキャリアコンサルタントの資格を取るぞ!」
「ふむ。では、次の行動を今すぐ起こすことが重要じゃ。熱意はすぐに冷めてしまうし、時間はどんどん過ぎてゆくからのう。今すぐにできること、それは関連する資料の請求をすることじゃ。」
「うん。今すぐ資料請求しちゃおうっと!」
キャリアコンサルタントの資料請求をする(LECWebサイト)≫
まとめ
いかがでしたか。キャリアコンサルタントの仕事について「魅力」「活躍の場」「転職・就職」「年収」「向いている人」「資格取得のメリット」「キャリアコンサルタントになるには」など、幅広くみてきました。キャリアコンサルタントの仕事について、イメージできたでしょうか。
LEC東京リーガルマインドでは無料で資格・講座の資料をお届けしています。興味をもたれた方は一度資料請求をされてみてはいかがでしょうか。
多数のウェブサイト・記事のある中、最後までお読みいただきありがとうございました。
キャリアコンサルタントの資料請求をしてみる(LECウェブサイト)≫
キャリアコンサルタントについてもっと詳しく知ろう(LECウェブサイト)≫
「キャリアコンサルタント試験情報~キャリアカウンセラーの国家資格~」をみる≫
登場人物
ライスタ博士:年齢不詳。資格取得に悩める人達を救うべく、日々資格情報を提供し各種相談を受けている資格博士。なぜか質問者がため口になってしまうほど親しみやすい。
美咲さん:夫、子供1人をもつ主婦。結婚・出産をきっかけに一般事務職を辞めた。でもやっぱり仕事がしたくて、今度はもっと人の役に立てる、長くできる、やりがいのあるキャリアコンサルタントの仕事がしたいと思っている。